スラック・テクノロジーズが運営するビジネスチャットツール「Slack」が、9月1日から有料のプロプランの値上げと、無料のフリープランの提供内容を変更することを、公式ブログで発表(7月18日)しました。



サービス提供を開始した2014年以来初めての値上げ

Slackの値上げは、サービス提供を開始した2014年以来初めてのことです。値上げに踏み切った理由は、「新機能追加で価値が向上したことを踏まえ、今後もイノベーションへの投資を続けられるようにしていくため」としています。

Slackが目指してきたのは、単なるメッセージングアプリではなく、「Digital HQ(会社を動かすデジタル中枢)」です。そのためにSlackコネクトやSlackハドルミーティング、クリップ、ワークフロービルダーといった新機能を追加し、機能強化に取り組んできました。

これまでに取り組んできた機能強化によって、目標としてきた「Digital HQ」に、一歩近づいたということかもしれません。

月額90円アップとなる「プロ」プラン

では、有料のプロプランの価格改定の内容を見ていきましょう。有料プランには小規模事業者向けの「プロ」、中規模事業者向けの「ビジネスプラン」、大規模事業者向けの「Enterprise Grid」の3種類があります。

これまでの1ユーザーあたりの利用料金は、「プロ=月額960円/年額10,200円」「ビジネスプラス=月額1,800円/年額19,200円」です。今回の価格改定の対象となっているのは「プロ」で、「ビジネスプラス」と「Enterprise Grid」の価格改定は含まれていません。

では、「プロ」の新料金ですが、月額1,050円/年額11,000円で、1ユーザーあたり月額90円の値上げとなるようです。

「プロ」利用者にとっては、値上げによって負担増となりますが、現在プロプランを契約中の利用者は、新料金適用となる9月1日以前に年払いをすれば、1年間は旧料金が適用されることになっています。

フリープランに新機能が追加

フリープランが無料で使えるのはこれまで通りですが、サービスの提供内容が大きく変わります。

まず、有料プラン向けに提供されていた「音声/動画クリップ」機能が、フリープランにも追加されます。この機能追加により、フリープランでは使えなかったSlackアプリ上での音声や動画、画面の録音・録画が送信できるようになります。

また、これまでは「メッセージ履歴(アクセス可能な過去のメッセージ件数)10,000件、ストレージ容量5GB」という制限が、「90日間のメッセージ履歴、ストレージ容量無制限」へ変更となります。

ストレージ容量が無制限となることで、これまで以上に使いやすくなりますが、注意したいのはデータ保存期間が最大90日となることです。つまり、90日以前のメッセージは非表示となり、メッセージ履歴をたどれなくなります。

フリープラン利用者への影響

Slackのプロプランの利用料金が“月額90円の値上げ”となることよりも、“データ保存期間が最大90日”となるフリープランの提供内容が変わることの方が、利用者への影響が大きくなりそうです。

フリープランの利用者の多くは、小規模零細事業者や個人事業主、フリーランスです。仕事のやりとりは、90日で完結するものだけではないでしょう。中には半年、1年、いや数年かかる長期プロジェクトもあります。

これまで無料のフリープラン利用者は、この価格改定と提供内容の変更で、有料プランへ切り替えるか、あるいは他のビジネスチャットツールに変更するかの決断が、この秋までに迫られることになりそうです。

まとめ

Slackが有料プランの値上げと、フリープランの提供内容の変更に踏み切った背景には、無料プランから有料プランへの切り替えなど、有料プランユーザーの拡大を目指していると考えられます。さて、利用者は、どのように判断するのでしょうか。