中央最低賃金審議会が示した最低賃金引き上げ額の目安が、過去最大の31円アップとなり、この目安通りに引き上げが実現すれば、最低賃金の全国平均時給は961円となります。では、上場企業の時給はどのくらいなのでしょうか。

上場企業の時給最高ランクは?

就職・転職者向けの口コミサイト「OpenWork」を運営するオープンワークが、上場企業の年収と労働時間から“時給”を割り出し、「上場企業の時給ランキング 2022」として発表しています。

この調査は、「OpenWork」への口コミ5件以上(2019年1月〜22年7月)の上場企業1,953社を対象に実施したもので、有価証券報告書の平均年収データと、各社の月間標準労働時間、平均残業時間から時給を算出したものです。

最低賃金の全国平均時給と9倍以上の開き

上場企業の時給ランキングで1位となったのは、M&Aキャピタルパートナーズの8,811円です。同社の平均年収も2,688万円でトップとなりましたが、最低賃金の全国平均時給961円とは、なんと9倍以上の開きとなります。

それにしても、この9倍以上の格差を、どのように受け止めるべきでしょうか。あまりにも開きがあるこの収入の格差によって、富裕層はより裕福に、低所得者層はますます生活が苦しくなる格差社会の現実を、まざまざと見せつけられているようです。

富裕層と貧困層が固定化している状態

“格差社会”とは、階層によって収入や財産などの経済的な差が大きく、富裕層と貧困層が固定化している状態の社会を指します。

どのような社会でも、ある程度の格差は生じるものですが、このようなあまりにも大きな経済的格差は、いわゆる“富の再分配”が機能していないというだけでなく、何らかの問題を内包していることも考えられます。

そもそも、日本が高度経済成長にあった昭和の時代は、企業は経済成長に合わせて労働力を確保しなければならず、そのためには賃金を引き上げなければ人が集まらず、経済格差が縮小していました。

しかし、バブルが崩壊して不景気になると、“格差社会”というフレーズが盛んに叫ばれるようになったことも、令和時代を生き抜くビジネスパーソンは押さえておく必要がありそうです。

格差社会の背景にあるのは?

それにしても、労働力不足で人材確保が企業の最重要課題とされていますが、なかなか賃金アップとはなりません。それは、背景に飛躍的な経済成長があったからで、現在の経済状況とはまったく違うことを認識しておく必要がありそうです。

さらに、格差社会を生み出している背景には、労働者派遣法によって非正規労働者が増大していることも無縁ではありません。また、産業構造の変化が格差社会を助長しているという指摘もあります。

高度経済成長期の産業の中心は、労働集約的な産業でしたが、デジタル時代には高度なスキルや専門知識をもつスペシャリストが求められるようになっています。

雇用の柔軟性をもたらした非正規雇用ですが、正規雇用に比べ、キャリア形成や長期的なスキルの習得が難しく、人材の二極化が顕著になっていることなどが、格差社会の背景にはあるようです。

まとめ

賃金格差はまだまだ拡大していきそうです。成果主義や能力主義を導入する企業が増えていることも、格差拡大につながりそうです。賃金格差では男女間格差もあり地域間格差もあります。同一労働同一賃金についても、掛け声ばかりでなかなか進んでいません。これから先、どうなっていくのでしょうか。