多様な働き方が尊重される時代となり、副業を容認する企業も増えつつあります。では、副業をしている人は、何のために本業の他にも仕事をしているのでしょうか。そして、その働き方には満足しているのでしょうか。

3割強の企業の就業規則に副業・兼業の規定あり

総合人材情報サービスの株式会社アイデムが実施した「副業・兼業に関する調査―個人編」によると、就業規則に副業・兼業の規定がある企業は35.2%、規定なしが33.5%、不明が31.3%で、何らかの規定を設けている企業の割合が、やや高くなっています。

副業解禁の動きが広がり始めたのは、政府が「働き方改革実行計画」で副業・兼業の普及促進の方針を示してからです。また、厚生労働省によるガイドラインで、副業に関する労働時間や健康管理のルールを明確に示したことも、企業が副業を容認するきっかけになったようです。

労務行政研究所の調査では、35.4%の企業が副業・兼業を認め、社外からの人材の受け入れを容認する企業は15.7%となっています。厚生労働省の「副業・兼業に関する労働者調査」(2020年)では、10人に1人が副業を経験していることもわかりました。

副業の労働時間は週5時間未満が約半数

各種調査結果からも、かつては副業禁止が当たり前だった日本企業のルールが、副業・兼業を認める方向へとシフトしつつあることが示されています。しかし、副業を容認する場合に問題となるのが、本業が疎かになるという懸念です。

本業と副業を掛け持つとなれば、当然、労働時間が増えることになります。体力を温存するためには、どこかで手を抜かなければならないでしょう。その判断材料となるのが、本業と副業の労働時間ですが、株式会社アイデムの「副業・兼業に関する調査―個人編」では、それぞれの労働時間も調べています。

副業をしている人の本業の労働時間は週10時間未満が33.3%で、週40時間以上が23.3%です。一方、副業の労働時間は週5時間未満が45.7%で、5時間以上10時間未満が30.3%となっています。

収入増目的が副業をする理由

次に副業をする理由ですが、「自由に使える資金を得たい」が41.7%、「生活するうえでさらに収入が必要」が33.2%、「余暇時間を活用したい」が28.5%で、やはり収入増が副業をする目的の大半を占めていることがわかります。

なかなか給料が上がらない現実を突きつけられる結果ともいえますが、副業をしている人は、好きな時間に働けること、収入への不安が減ったことを副業のメリットと捉え、副業をしている人の方が本業についての満足度も高い傾向にあることもわかりました。

しかも、収入増が副業をする理由の上位に挙げられていますが、およそ4割が収入に関係なく、副業・兼業を続ける意向を示しています。

その理由をみていくと「自分の技術・能力を試したい」(17.0%)、「やってみたいことがある」(14.3%)、「本業ではできないことだから」(16.3%)などで、副業をすることでキャリアアップを目指す意欲にあふれている様子も見受けられます。

労働時間の増加が副業のデメリット

本業以外に副業・兼業をすることで、幅広い視野を養い、本業では得られない貴重な経験を積むこともできますが、その分、趣味を楽しむ時間が削られ、労働時間が長くなってしまうことは避けられません。

副業に興味がある人も、その点を副業のデメリットに挙げています。たとえば、本業が終わってから副業をするとなると、深夜勤務になることもあるでしょう。睡眠不足となり、本業に支障をきたすような副業はおすすめできませんが、オーバーワークとならず新しい知識や経験が得られるような副業なら、キャリア形成にもプラスとなるのではないでしょうか。

まとめ

働き方改革で長時間労働の是正を推進している政府が、それに逆行するような副業・兼業を普及促進しているのはなぜでしょうか。日本経済の持続的な発展には、イノベーションの創出が不可欠とされています。そのために、副業による「多様な知識・経験から生まれる枠にとらわれない発想」に期待を寄せているということですが……さて、どうなるのでしょうか。