2023年10月からスタートするインボイス制度ですが、スタートまで1年を切ったにもかかわらず、適格請求書発行事業者に登録すべきかどうか迷っている事業者も少なくありません。迷える事業者の相談先といえば税理士や公認会計士ですが、どのような相談が持ち込まれているのでしょうか。
消費税の仕入税額控除に必要となるインボイス
インボイス制度は、消費税が導入されて以来の大改編となります。消費税の仕入税額控除を受けるためには、取引先から適格請求書(インボイス)を発行してもらわなければなりません。
インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者に登録した事業者なので、これまで消費税納税が免除されていた小規模事業者やフリーランスの免税事業者も、適格請求書発行事業者に登録し、課税事業者となることが求められます。
免税事業者は、年間売上1,000万円以下の個人事業主やフリーランスですが、インボイス制度導入となれば、課税事業者として消費税を納税しなければならず、金銭的な負担が大きくなります。そのため導入に反対する声も各方面からあがり、混乱しているのが実情です。
インボイス制度についての相談・質問が急増
免税事業者だった事業者にとっては、取引先の求めに応じてインボイスを発行しなければ、取引ができなくなる可能性もありますし、適格請求書発行事業者に登録することがメリットになるかどうかという不安も生じるでしょう。
ペーパーロジック株式会社(https://paperlogic.co.jp)が実施した「税理士・会計士におけるインボイス制度対応に関する実態調査」*でも、およそ8割の税理士・会計士が、インボイス制度についての相談や質問が急増していると実感していることがわかりました。
相談・質問の内容でもっとも多いのは、「適格請求書発行事業者に登録すべきかどうかがわからない」で、半数を超える56.2%です。
また、インボイス制度そのものが「わからない」が55.0%、適格請求書発行事業者に登録すると「消費税額がどうなるのか」が33.8%と続いています。
具体的な対応は“暗中模索”状態
また、課税事業者からも、「下請け業者のインボイス制度の理解が不十分」、「登録番号を集めるのはすべての取引先なのか」、「免税事業者の外注先との取引はどのようにしたらいいのか」、未登録業者から受け取った請求書に消費税が計上されていた場合、その「消費税の扱いはどうなるのか」といった相談・質問も寄せられているようです。
インボイス制度が導入されることの認識は広まっていますが、課税事業者も免税事業者も、制度導入にまつわる具体的な対応となると、まさに暗中模索といったところのようです。
相談を受けた税理士・会計士の対応は?
この調査では、相談を受けた税理士・会計士の対応についても明らかになっています。
もっとも多いのが、「制度および税務取扱いに関する分析・助言」(53.6%)で、「旧税率適用の要件・影響などに関する助言」(30.9%)、「各取引の適用税率に係る分析・助言」(30.9%)と続いています。
また、これからは「個別相談会の実施」や、そのための「人員の増加」などを予定している税理士・会計士も多く、新制度の対応に戸惑っている事業者にとっては、心強いサポートになりそうです。
まとめ
ペーパーロジック株式会社の調査に応じた税理士・会計士によると、相談者のインボイス制度への対応は、6割から7割程度が22.7%、4割から5割程度が16.5%です。会計処理の方法もこれまでとは大幅に変わることになるため、いずれにしても、対象となる事業者は早急に対応した方がいいかもしれません。
*【調査概要】
調査概要:税理士・会計士におけるインボイス制度対応に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2022年11月14日〜同年11月15日
有効回答:税理士・会計士もしくは会計事務所にて会計業務を行っている方101名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「ペーパーロジック株式会社」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://paperlogic.co.jp
■参考サイト
PR TIMES 【インボイス制度における税理士・会計士の対応は?】約8割が、インボイス制度に関する「相談・質問の増加」を実感
