今年(2023年)5月8日より、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。 厚生労働省は新型コロナについてこれまで、外出自粛など厳しい要請をする「2類以上に相当」としてきました。


今後は政府が求めてきた行動制限は基本的になくなり、感染対策は個人や企業などが自主判断をすることになります。また、それに伴い、政府や地方自治体が行ってきたさまざまな“公費支援”も大半は終了しました。
本記事では、新型コロナの「5類」移行によって変更したことをまとめてお伝えします。


感染対策は個人の判断 公費支援は減り“自己責任”へ

新型コロナが5類に移行され、大きく変わる点は3つあります。


1つめは、感染対策は個人や企業の判断になること。政府がこれまでのような行動制限を求めない代わりに、国民ひとり一人が自己判断で感染予防をしていく必要があります。


2つめは、医療行為や検査、感染対策などでかかる費用の公費支援が大きく減り、自己負担が増えること。


3つめは、診療体制が段階的に拡大し、全国の約6.4万か所の医療機関が診療を行えるようになることです。以下の表は、新型コロナが5類扱いとなってからの変更点をまとめたものです。


行動について

・感染対策(マスクの着用など)は個人の判断に委ねられる。
・法律に基づいた外出自粛の要請などはなくなる。
・感染後の療養期間の目安として、発症翌日から5日間は外出を控えることを推奨。さらに、症状が軽減されてから24時間程度は外出を控えることを推奨。
・保健所からの「濃厚接触者」という特定はなくなる。感染者と濃厚接触しても外出自粛は求められない(ただし、医療機関や高齢者施設などでクラスターなどが発生した場合は、濃厚接触者かどうか判断したうえで、行動制限への協力を求める場合あり)。


医療機関の診療体制や検査について

・限られた医療機関での患者受け入れ体制から、全国の約6.4万か所の医療機関が診療を行えるようになる。
・検査や外来診療の費用などは、窓口負担無料から自己負担(一般的には3割)に見直される。
・ワクチン接種は、2023年度は無料で、2024年度は今後検討。
・民間検査所で行われていたPCR検査も有料。
・各自治体の検査キット配布事業は終了。
・入院費用は、医療費や食事代は自己負担に。ただし、9月末までは高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額する。
・高額なコロナ治療薬の費用も9月末まで引き続き公費で負担。
・医療機関などによる感染者数の報告は、毎日すべての感染者数を報告する「全数把握」から、指定された医療機関が1週間分の感染者数をまとめて報告する「定点把握」に変更。厚生労働省の発表は週1回、毎週金曜日。


地方自治体などの対応について

・保健所などからは感染の証明書を発行しない(感染の証明が必要な場合は、医療機関で発行される診断書を活用する)。
・感染者の隔離や療養のために地方自治体が提供していたホテルなどの宿泊療養は原則終了。
・高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設については、地方自治体の判断で9月末まで継続。
・自宅療養者向けの配食は終了。
・高齢者や基礎疾患のある人などについて、医療機関から保健所への発生届は不要。健康観察も行わない。
・重症化リスクが高い人が多い医療機関や高齢者施設、障害者施設で陽性者が発生し、施設の従事者や関係者への検査を都道府県などが行う場合は、無料で実施する。


以上が、5月8日から感染症法上「5類」に移行した新型コロナについて発表された政府の方針です。


私たちが新型コロナと共生する日々は今後も続くでしょう。日常生活や仕事をしていくうえで、自身や周囲の人々の健康を守りながら快適に過ごしていくために、“自己責任”を意識しながら最適な方法を選択するように心がけてみてはいかがでしょうか。