神戸近郊の店舗

カー用品販売大手のオートバックスセブン<9832>が、2024年4月からの新年度入りとともに攻勢をかける。

2024年4月1日にカー用品販売店のオートバックスの加盟店9店を埼玉県と茨城県で運営するユーエイ(埼玉県越谷市)を子会社化するとともに、この前日の2024年3月31日には人員削減を行い、事業拡大とコスト削減の両面作戦を展開する。

2024年3月期は0.9%の減収、1.5%の営業増益の予想で、伸び悩みの状況がうかがわれる。攻勢によって2025年3月期は成長軌道に乗ることができるだろうか。

オートバックス事業の収益を拡大

オートバックスは中期経営計画で、国内オートバックス事業の収益拡大を目標に掲げており、埼玉、茨城エリア内の競争力を強化する目的で、ユーエイの子会社化を決めた。

ユーエイはオートバックスを8店舗(埼玉県、茨城県)、大型店舗のスーパーオートバックスを1店舗(埼玉県)展開しており、帝国データバンクの調べでは2023年3月期の売上高は55億2800万円、当期利益は1億1300万円だった。

オートバックスの2025年3月期には、この数字が加わることになる。売上高2342億円、当期利益90億円(2024年3月期の予想)を見込む同社にとって、影響はさほど大きくはないが、増収増益の方向に振れることは間違いない。

ユーエイの業績推移
帝国データバンク調べ

コロナ禍の影響が出始めた2020年以降に、同社が適時開示したM&Aは10件で、このうち企業買収は7件を占め、事業の拡大にM&Aの手法を用いてきたことが分かる。

エーザイの子会社化は、2023年1月に発表した富士通<6702> 傘下でシステム開発や運用を手がけるABシステムソリューションの子会社化以来、1年ぶりの買収となる。

ABシステムソリューションはオートバックスが主体となって2002年にスタートした企業で、オートバックスの基幹システムの構築や運用、保守を手がけていた。

このほかにもG‐7ホールディングス<7508>傘下でカー用品販売のG‐7・オートバックスつくばや、自動車パーツの企画、開発、設計を手がけるファトラスタイリングの子会社化など、オートバックス事業の収益拡大につながるものが少なくない。

オートバックスセブンの2020年以降の主なM&A

持続的に成長に向け人員を削減

一方、人員削減は業績悪化によるものではなく、持続的に成長するためには、人員規模の最適化が必要との判断によって決定した。これによって競争力を高めるとともに、社員の多様なライフプランを支援するという。

同社ではすでに社員のリスキリング(新しい知識やスキルを学ぶこと)やキャリア転換などを支援しており、今回の人員削減もこうした取り組みの一環として、退職者には技術や知識などを向上させるための支援金を支給する。

削減する人数は全従業員4477人(2023年3月末)の2%強に当たる100人を募ったが、応募者は16人に留まった。このため新年度入りと同時に、計画した新体制をスタートさせることは難しいものの、採用抑制などの対策でいずれ人員規模の最適化が実現するものと思われる。

9年間に1000億円を投資

オートバックスは2033年3月期に売上高5000億円を目指している。これは2024年3月期の予想と比べると9年間で売り上げが2倍以上に拡大する計算になる。

この成長を実現するため同期間中に、連続的成長と非連続のイノベーション(革新)に合計1000億円の投資を計画しており、新たな事業創造に180億−200億円、既存事業の成長に500億−600億円、既存事業の維持、更新に100億−200億円の投資を見込む。エーザイの次のM&Aはそう遠くはなさそうだ。

文:M&A Online