日本の生き残る道 企業統治が我が国を救う

数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「日本の生き残る道  企業統治が我が国を救う」牛島 信著、幻冬舎刊

本書はコーポレートガバナンスについてのエッセイ集である。

著者が執筆した朝日新聞の連載「経済気象台」や、ウェブサイトへの寄稿、NPO法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークに記載したものをまとめた。

コーポレートガバナンスとは、不正を防ぐために、社外取締役や社外監査役らによって経営を監視する取り組みで、日本語では企業統治という。

他方、失われた30年という言葉がある。バブル崩壊後の1990年代初めから現在まで続く経済低迷を指す。

筆者は、どうして日本が30年を失ってしまったのか、との疑問を抱き、さまざまな研究を重ねた。

その結果、戦後の日本が経済成長を成し遂げたのは、株の持ち合いにより企業経営が安定していたためで、この成功の原因そのものが、30年間を失った原因なのではないかと分析する。

そして、日本が復活するためには、コーポレートガバナンスしかないと結論づけている。

それは、社会で価値を創造することができるのは企業だけだからだという。副題に「企業統治が我が国を救う」としたのもそのためだ。

日本の生き残る道 企業統治が我が国を救う

第1章 の企業にとってのガバナンスでは「実効性のある監査のために」「社外取締役の役割とは何か」など31テーマを、第2章 の働く人にとってのガバナンスでは「非正規雇用者の待遇改善」「コロナと雇用」など24テーマを掲載。

第3章の投資家を呼び込むガバナンスでは「長期投資に優遇策を」「重要性増す物言う株主」、第4章の東芝と我が国のガバナンスでは「東芝と機関投資家」「海外M&A 失敗の根源」など10テーマを取り上げた。

付録の続・身捨つるほどの祖国はありやは「日本人にとって生き死にとは」など13テーマから成る。

著者は弁護士で、コーポレートガバナンスをはじめ、持ち帰り弁当チェーンを運営するオリジン東秀の経営権を巡る争奪戦や、国際訴訟などの案件を担当してきた。小説家でもあり「株主総会」「買収者」「少数株主」などの作品がある。

コーポレートガバナンスに関わる人はもちろん、日本経済の行く末に関心を持つ人たちにおすすめだ。(2022年9月発売)

文:M&A Online編集部