初めて国内週間売り上げナンバーワンになった米アップルの「iPhone13」シリーズ(同社ホームページより)

「遅咲き」にもほどがある?「iPhone13」が発売から1年以上も経って初の国内週間ベストセラーモデルになった。ITネットニュースのBCN(東京都千代田区)が調査した「BCNランキング」によると、2022年11月7日から13日の日次集計データで最も売れたスマートフォン(スマホ)は2021年9月に発売された米アップルの「iPhone 13」だったという。最新モデルの「iPhone14」を差し置いて、なぜ今ごろベストセラーモデルなのか?

「型遅れ」になってからベストセラーに

同ランキングによると、2位は「iPhone SE(第3世代)」、3位は米グーグルの「Pixel 6a」、4位は2002年9月発売の「iPhone 14」、5位は同月発売の「iPhone 14 Pro」の順だった。「iPhone13」が最新機種の「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」よりも売れた理由は「価格」と見られる。

発売直後で価格が高い「iPhone 14」シリーズに対して、「型遅れ」となった「iPhone13」の値段はこなれてきた。キャリア(移動体通信事業者)販売代理店で携帯電話番号ポータビリティ(MNP)と残価設定型契約を申し込むことなどを条件に「iPhone13」が実質1円で販売されているとの報告もある。販売奨励金による値引き販売だ。

実際「iPhone13」も、発売直後から値崩れした前モデルの「iPhone 12」シリーズや廉価モデルの「iPhone SE」シリーズに押されて1年以上にわたってベストセラーモデルになっていない。先週までは19週連続で「iPhone SE(第3世代)」がベストセラーだった。


高すぎる価格と性能の足踏みが最新機種の足を引っ張る

最新モデルよりも価格が重視されている理由は「iPhone」シリーズの急激な値上がりがある。2009年に日本で初めて投入された「iPhone3GS」は6万9120円からだったが、「iPhone14」は11万9800円からと2倍近く値上がりした。そのため最新モデルには手が出せず、型遅れとなったモデルを販売代理店の値引き販売で購入するのが主流になったのだ。

もう一つ、前モデルの「iPhone13」には有利な点がある。新型の「iPhone14」の頭脳となるCPUは最上位の「Pro」モデルのみ「A16 Bionicチップ」にアップデートされたが、その他のモデルは「iPhone13」や「iPhone SE(第3世代)」と同じ1世代前の「A15 Bionicチップ」を流用。メインカメラの画素数も4800万画素カメラが採用されたのは「Pro」のみで、その他の「iPhone14」モデルは1200万画素のままで前モデルと変わらない。

つまり、大きな性能差がないのだ。「iPhone13」を選んでも、機能面で不満を感じる場面は少ないだろう。グローバルでも、そうした流れがあるようだ。台湾Pegatronが販売不振の「iPhone14 Plus」の製造ラインを「iPhone13」用に切り替えるのではないかとの見方もある。

これはアップルにしてみれば、歓迎すべき状況ではない。製品と顧客ニーズとのミスマッチが生じている証拠だからだ。「iPhone15」でも同じ轍を踏むのか、それとも顧客が最新モデルに飛びつくような魅力的な製品づくりができるのか、アップルのマーケティング力と開発力が試されることになりそうだ。

文:M&A Online編集部

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