マイクロRNA医薬品で世界のトップを走るPURMX Therapeutics(同社ホームページより)

URMX Therapeutics(パームエックス・セラピューティックス、広島市)は、広島大学発の創薬ベンチャー。同大大学院医系科学研究科の田原栄俊教授が発見した老化に関わるマイクロRNAの抗腫瘍効果をベースに、RNAの機能性スクリーニング系を独自に開発。これを利用して効能の高いマイクロRNA医薬品を臨床開発するため、2021年1月に起業した。

マイクロRNA医薬品で難治がんに挑む

具体的には、老化を誘導するマイクロRNAが損なわれることで無限増殖の状態にあるがん細胞を、ストッパーとなる天然型マイクロRNAの補充で死滅させる新薬を開発している。現在、市販されているマイクロRNA医薬品は存在せず、臨床開発段階にある新薬も世界中でわずかしか存在していないという。

現在、同大でアスベストが原因となるがんの一種「悪性胸膜中皮腫」の患者を対象にした「MIRX002」の第1相臨床試験を実施中。この分野でのグローバルパイオニア(世界的先駆者)として注目されている。「MIRX002」はヒトの体内細胞で作られる核酸の一種であるRNAのうち、「マイクロRNA」を薬効成分とする核酸医薬品だ。

URMX Therapeuticsが実施中の治験
URMX Therapeuticsが実施している「MIRX002」の第1相試験(同社ホームページより)

「天然型」であることから、副作用の少ない抗がん剤として期待できる。悪性胸膜中皮腫のモデルマウスを用いた動物実験では、胸腔内に1〜3回投与を行うことにより顕著な腫瘍の縮小と生存率の大幅な延⻑が認められた。さらに「がん幹細胞」を死滅させ、がんの再発を抑える可能性もあるという。

同社は2022年5月にUTEC5号投資事業有限責任組合やQB第二号投資事業有限責任組合などから、シリーズAラウンドとして総額約8億5000万円の調達に成功している。調達した資金で第1のパイプライン(新薬候補)である「MIRX002」の投与医師主導治験や適応拡大などの研究開発を促進。併せて他の開発パイプライン拡充のための研究開発も進める。

2022年9月には大学などの研究開発成果を活用して起業し、今後の活躍が期待される優れた大学発ベンチャー企業を表彰する、科学技術振興機構(JST)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)共催の「大学発ベンチャー表彰2022」で「大学発ベンチャー表彰特別賞」を受賞している。

文:M&A Online編集部