同社ホームページより

フレンドマイクローブ(名古屋市)は、名古屋大学発のバイオベンチャー。蟹江純一社長が学生時代に取り組んだ微生物の研究をベースに社会課題解決に取り組むことを目指して、2017年に設立された。

微生物と酵素の独自技術で「難問題」を解決

同社会長でもある名大の堀克敏教授は、微生物工学の専門家として、微生物の排水・廃棄物処理や、抗生物質をはじめとする製薬、バイオ燃料や化成品の生産など幅広い研究に取り組んできた。

同社のビジョンは社名にあるように「微生物を友達に」して、社会課題の解決に貢献すること。微生物やその酵素を活用し、従来は解決が難しいとされてきた問題に対する解決策を提供し、持続可能な社会の実現を目指す。

同社は名大で開発された高性能な油脂分解微生物群を活用した独自技術を持ち、排水処理における油脂分の分解ソリューションが高く評価されている。その一つが排水中の油脂分解システム「MiBiocon-FW」だ。

食品加工工場などから排出される廃水中の油脂を効率よく分解し、産業廃棄物となる油性汚泥の発生を抑制できる。これにより、悪臭の解消や廃棄物処理コストの削減などを実現するという。


2億3000万円の資金調達に成功

2023年5月にはジェネシア・ベンチャーズ、豊田合成、住友商事、ハウス食品グループイノベーション 2 号ファンドを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額2億3000万円の資金調達に成功。調達した資金は「MiBiocon-FW」の販売促進や、その性能向上のための開発に充てられる。

併せて油脂分解微生物の応用範囲を広げ、業務用厨房に設置が義務付けられている油脂分離阻集器(グリストラップ)や生ごみ処理機での活用や、鉱物油分解技術の研究・開発を加速するためにも活用する予定だ。

今回の増資に応じた豊田合成はフレンドマイクローブの油脂分解技術を利用することで、2050年までの廃棄物の極小化を目指す長期環境目標の達成に役立てる。住友商事も排水処理ソリューションや有用物質の合成製造などの事業でフレンドマイクローブの微生物技術を利用し、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指す。

ハウス食品グループ本社は、フレンドマイクローブの微生物技術が食品の新たな価値創出につながる可能性に注目し、協業を進める方針だ。日本を代表する大手企業が注目する技術だけに、今後の成長が大いに期待できるベンチャーだ。

文:M&A Online