松江駅前の朝日町に2017年に竣工した島根銀行本店(photo by ビースタイル ギグワークス)

2017年に新本店を竣工した島根銀行<7150>。県内かつ山陰のトップバンク、山陰合同銀行の本店ビルが地上14階、高さ約75m。対して島根銀行新本店は地上13階、高さ約66m。島根県の県庁所在地・松江市の中心街に2つの高層ビルが建つ。ともに、水の都・松江のランドマーク的な存在だ。

無尽から相銀、第二地銀の典型的なレールを走る

島根銀行の源流は1915(大正4)年5月に創立した松江相互貯蓄という会社である。いわゆる貯金業務を扱う金融機関だが、創立直後の同年10月に無尽業の免許を取得し、松江相互無尽と改称した。

無尽組織から相互銀行となったのは1951年10月のこと。名称は松江相互銀行であった。その後、1989年1月に普通銀行に転換し、島根銀行と改称した。無尽→相銀→第二地銀という過程はオーソドクスな展開だ。第二地銀に転換したときに「松江」から「島根」に名称を変えたことに、市域から県域により広く浸透し、成長を図りたいという意気込みが感じられる。

SBIとの資本業務提携の真価が問われる

大きな転換は2019年9月のSBIホールディングス<8473>、SBI地域銀行価値創造ファンドの委託会社であるSBIアセットマネジメント(東京都港区)との資本業務提携の締結だろう。

あらためて語るまでもないが、SBIは1999年7月、ソフトバンクの連結子会社として創立したソフトバンク・インベストメントが前身だ。現在は、ネット証券大手のSBI証券と日本長期信用銀行(長銀)を前身とするSBI新生銀行、大手ベンチャーキャピタルのSBIインベストメントを中心に、証券業、銀行業はもちろん、保険、資産運用、暗号資産など多方面の事業と子会社を擁する金融コングロマリットである。

2019年当時、SBIではいくつかの地方銀行との資本提携を積極的に進めていた。その1つとして島根銀行との提携が実現したわけだ。島根銀行としては、当時、自己資本比率が6%台になるなど業績が厳しい状況にあったが、その中で銀行業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に大きく舵を切ったことになる。

もちろん、資本業務提携には資本増強の目的もあった。ただし、このSBIとの資本業務提携の際には、地元有力企業からの資本増強も受けている。厳しい状況が続く島根銀行に、SBIと地元企業が一緒になって助け船を出したということもできる。

島根銀行では、2019年にSBIマネープラザ(東京都港区)との共同店舗「島根銀行SBIマネープラザ」の運営を開始し、翌2020年にはSBI証券に投資信託・債券取り扱い事業を譲渡した。

DX推進に関しては、2022年9月にスタートしたスマートフォン支店「しまホ!」の預金残高が2023年10月に300億円を突破し、2024年2月現在は500億円を突破するまでに急成長している。「しまホ!」とは、SBIネオファイナンシャルサービシーズ(東京都港区)が提供するスマートフォンアプリを活用して展開するビジネス。

現在のところSBIとの資本業務提携は大きな成果を生んだともいえる。ちなみに、SBIなどが開発中の勘定系システムを島根銀行が稼働させるのは2025年の予定。金融機関の基幹ともいえる勘定系システムの稼働が大きな成果を生むことができるか、DX推進の真価が問われる。

文:菱田秀則(ライター)

「“ご当地銀行”の合従連衡史」連載一覧はこちら