4月25日。近鉄ライナーズは、地元・花園でパナソニックとの大一番を迎える。この試合に標準を合わせてリハビリを続けてきたFL田淵慎理(同大卒)だったが、肩のケガが癒えずメンバーから外れた。しかし、7年目の今季は過去の自分と比較して、「成長した」と話す。もちろん、選手である以上グラウンドに立つことに価値はあるが、本当にスポーツ選手の価値はそれだけだろうか…。田淵が悩みに悩んでたどり着いた答えとは。

ボキッ...不穏な音が聞こえた瞬間、嫌な予感がした。

 トップチャレンジの第3戦に向けた練習中、モールに腕が挟まったままねじられた。骨なのか、筋肉なのかは分からなかったが、田淵には確かに嫌な音が聞こえた。そして、午後の練習が始まる時には腕は動かなくなり、翌日、病院へ向かった。診断結果は肩の中で腱が剝がれているというもの。手術は免れたが、復帰までに1ヶ月以上はかかると覚悟した。

「今年はリーダーから外れて、選手選考の部分もフラットに見られていると感じていました。パフォーマンスが良ければ出られるし、ダメだったら出られない。その中で、開幕戦と2戦目に出場できた中でのケガ。正直、またか...とは思いました。」

 今年で7年目。2年目は前十字靭帯断裂で膝を手術。4年目はアキレス腱を断裂した。常にケガと付き合いながらのラグビー生活なだけに、今回のケガでメンタル面が落ちることは無かったという。しかし、田淵の考え方に変化が起きていた。

「選手なので試合に出て活躍するのが1番です。でも、リハビリ期間を過ごす中で、チームのために何もできないのか。スポーツ選手としての価値は試合に出場するだけではないと考え始めました。特に去年、チームは全勝で優勝。自分が試合に出ていなくても優勝するのだから、自分の価値は何だろうかと考えました。」

ファンへ近鉄ライナーズの魅力を選手発信で伝えたい

 その田淵流の答えが、SNSを積極的に活用して選手から直接ファンに近鉄ライナーズの魅力を届けることだった。ツイッターやインスタグラムだけでなく、試合の注目ポイントや試合後の感想を書くコラムも発信している。さらに、トップチャレンジの優勝決定戦・豊田自動織機戦では、ファンクラブ用の配信で実況や解説を選手が務めることを広報に提案し、実行した。正直、自ら情報発信するのは苦手なタイプだと見えるが...

「昔はチームが広報活動をしていても、何かやってるよと他人事のように思う程度だったと思います。そこは成長した部分です(笑)ライナーズのことを知ってもらいたいと始めたのですが、発信を通じて、ケガをした時に逆にコメントをもらったり、自分はファンに支えられているということを感じました。ファンへの恩返しをするために、練習も発信も頑張りたいと思います。」

 4月18日。チームはトップリーグ所属の宗像サニックスを31対21で撃破。25日に強豪・パナソニックとの大事な一戦を迎える。

「トップチャレンジの優勝決定戦で豊田自動織機に負けた時、全員の意識がバラバラの方を向いてしまった感じがしました。でも、もう一度トップリーグと戦うマインドを作っていこうと取り組んでいます。サニックスに勝つことができたので、次もチームには頑張ってもらいたいです。僕もパナソニック戦の見どころを発信します。」

 スポーツ選手の価値とは・・・。ライナーズ愛を深めてもらうために、ラグビー愛を広げるためにプレーはもちろん、自らチーム情報を発信しつづける。ぜひ、試合前にコラムを読んでもらいたい。

写真:近鉄ライナーズ
文:進藤佑基


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