無事故者に広がる優遇特典
SDカードをご存じだろうか。これは、自動車安全運転センター(東京都千代田区)が発行する、安全運転者(Safe Driver)の証となるカードだ。無事故・無違反証明書または運転記録証明書を申請し、1年以上無事故・無違反であれば、証明書とともに受け取れる。
SDカードを持っていると、全国の優遇店でさまざまな特典を受けられる。ガソリン代や食事代、宿泊費の割引に加え、マイカーローンの金利優遇なども用意されている。対象店舗は、
・道の駅
・サービスエリア
・ガソリンスタンド
・レンタカー会社
のほか、理容・美容店、化粧品店、資格スクールなど多岐にわたる。
こうした特典があるSDカードだが、社会全体にどのような影響をもたらすのか。今後の動向にも注目したい。

SDカードで変わる運転習慣
SDカードの最も大きな影響は「安全運転の促進」である。多くの人が無事故・無違反を目指しているが、それを達成すれば特典が得られるとなれば、モチベーションの向上にもつながる。
特に、SDカードにはガソリン代の割引などの優遇があり、ドライバーにとって非常に魅力的なカードだ。ゴールド免許所有者が免許更新時に優遇されるように、SDカードも「安全運転を意識しよう」と促す役割を果たす。
警視庁が発表した年齢層別の免許保有者10万人あたりの交通事故件数によると、10代と20代が最も高い事故率を示している。このデータにSMBCコンシューマーファイナンスが実施した「20代の金銭感覚についての意識調査2024」を照らし合わせると、興味深い結果が浮かび上がる。20代の若者は節約のために
・ポイントを利用する(56.0%)
・クーポンを利用する(43.0%)
といった方法を取っており、さらに最も高額な消費項目は「旅行・レジャー」である。このことから、若者が旅行やレジャーに対して高い関心を持っていることがわかる。
事故を起こしやすい若者は、日常的な節約方法に高い関心を示し、旅行やレジャーという高額消費にも積極的だ。SDカードの優遇サービスは、クーポンやポイントに似た形で割引を提供し、サービスを受けられる優遇店には旅行やレジャー関連の業界も含まれている。
そのため、SDカードの認知度を広げ、若者にとってさらに魅力的な内容にすることで、20代ドライバーの安全運転意識を高め、交通事故を抑制することが期待できる。

SDカード経済圏拡大の可能性
SDカードのもうひとつの重要な影響は「経済効果」である。クレジットカードのポイント経済圏のように、顧客を自らの経済圏に囲い込むことが注目されている。カード会社のポイントを提供する店舗やサービスで顧客の消費を引き寄せるという仕組みだ。利用者にとっては、ポイントによる割引などのメリットが大きい。
現時点でSDカードは完全な経済圏として確立されていないが、
「SDカードで割引を受けられるからこのサービスを利用しよう」
と考える人は少なくない。今後、SDカードが「ポイントシステム」を導入したり、優遇店を増やしたりすれば、さらなる経済発展が期待できるだろう。令和5年度の運転免許保有者数は8186万2728人、人口の
「75%」
を占めている。また、同年度の優良運転者講習受講者は全体の約63%にのぼる。このことから、SDカードの普及は十分に可能であり、経済効果を生み出す潜在力を持っていることがわかる。

安全運転を促す特典型アプローチ
増税や物価高騰により、経済的に困窮している人は少なくない。そのなかで、節約志向が強まり、少しでもお得にサービスを受けたいという気持ちが高まっている。このような状況下で、SDカードによる割引特典は非常に魅力的で、多くの人が手に入れたいと感じるだろう。
しかし、そのためには、割引やサービスを提供する企業を増やす必要がある。運転免許保有者が人口の75%を占めるという事実を活かし、SDカードが経済圏を確立できれば、さらに大きな経済効果が期待できるだろう。同時に、SDカードの認知度が高まり、ドライバーは日常的に安全運転を意識するようになるだろう。
安全運転はドライバーの責務だが、それを義務として押し付けるのではなく、「特典を得るために安全運転を心掛けよう」と感じさせるアプローチは、事故率軽減に繋がる可能性が高い。
近い将来、クレジットカード会社のポイント経済圏にSDカードが加わる時代が来るかもしれない。


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