【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?

「糖質0」「プリン体0」「カロリーオフ」

そんな言葉をビールのラベルでよく見かけるようになりました。今回の企画は、その言葉自体を追究するものではありません。

味です。

「体に悪いものをカットしたらおいしさまでカットされてしまった」では、そもそも飲む意味からしてわからなくなります。

そこで、何種類も出ている「体によくないものをカットしているビール」を飲み比べ、各メーカーの頑張り具合を見てみることにします。

なにをもって「世界初」とか「0.0%」というのか、あるいはいろいろカットを実現するための「〜製法」ってなんなのかなど、各社の努力についてはどこもサイトで思いきりPRされているので、気になるビールがあったらそちらを見てください。

いろいろオフをうたっているビールはあまりにも種類が多いので、駅前のスーパー、駅前のコンビニ、酒類も扱う駅前のドラッグストア2件の4店舗で売られているものに絞りました。その結果、スーパーで8種類、ドラッグストアで2種類の計10種類が揃いました。

ここで初めて気づいたのですが、ゼロとかオフとうたっているものは、すべて発泡酒か新ジャンルなんですね。

そして、4大メーカーの方向性の違いもよく見えました。

アサヒは何らかのゼロとかオフといった発泡酒・新ジャンルを7種類も出しています。すごい数です。キリンは5種類です。

アサヒのドライな味=おっさん好み=痛風や糖尿病予備軍?=よおし、お客様のためにプリン体ゼロ糖質ゼロのビールがんがん作ろうじゃないか! という構図でしょうか?

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?

一方、サントリーとサッポロは各1種類のみ。この差はすごいですね。

購入したものを見ると、キリン4種、アサヒ3種、サントリーとサッポロ1種ずつ、そして韓国産1種という内訳でした。

どれほど種類を出していても、店頭に並んでいなければ消費者が手に取ることはありません。コンビニで売られていた「ゼロ系・オフ系」は、すべてスーパーの商品とかぶっていました。つまりその8種類はスーパーでもコンビニでも一定数の売り上げが見込めるということですね。

では味のほうはどうでしょう。飲んだ順番でご紹介します。味の感想はあくまでも個人の味覚によるものなので、そこはご承知おきください。

キリンビール 淡麗プラチナダブル 発泡酒

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分5.5% 100ml当たり31kcal 脂質0g 糖質0g プリン体0.00mg

初めて飲んだのですが、フルーティな香りにびっくりしました。

ほのかな甘みまで感じられるような、苦味のない爽やかな口当たりです。『淡麗グリーンラベル』よりまろやか。フルーティなビールをちょっと薄めた感じという表現が、自分としてはしっくりきました。ビールならではの苦味が得意ではないという人には相当受けると思います。

そして若い女子に受けそうな、キリンらしいスマートな味わい。最初の1本目からなかなか楽しめる味でした。ちなみにキリンビールのサイトの紹介文には「力強い飲みごたえ」という一説がありましたが、それはちょっと違うかな。

アサヒビール クリアアサヒ糖質0 新ジャンル

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分6% 100ml当たり39kcal 脂質0g 糖質0g プリン体2.0mg

このアルコール分6%というのは、発泡酒・新ジャンルの中では極めて高い数字です。うれしくなりますね。ちょっと人を突き放すようなドライな味わいは、やっぱりアサヒならでは。

今回アサヒの発泡酒・新ジャンルを3種類飲んで感じたのですが、アサヒはビールと同じテイストを発泡酒や新ジャンルでも貫いています。スーパードライの誕生&ヒットが、アサヒビールの味の方向性決定づけたのでしょう。
余談ですが落合信彦が出るCM、今でも覚えてます(わかる人だけわかればいい)。

で、この『クリアアサヒ糖質0』は、淡麗プラチナダブルのようにフルーティさがどーんと来るといったインパクトはないので、印象に残りにくい味ではあるかもしれません。

けれど、どんな食べ物の邪魔もすることなくグイグイ飲める、そんな優等生です。

サントリー 金麦 糖質70%オフ 発泡酒

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分4% 100ml当たり33kcal 脂質0g 糖質0.5〜0.8g プリン体1.5mg

今回飲んだ10本の中で、これまでに飲んだ本数が断トツに多いのがこれです。

もともと発泡酒なら金麦を買うことが多かったので、その流れで何も考えずに買い、普通に飲んでいました。「うわあうまい!」と思ったことはありませんが、「まずっ!」と思ったこともありませんでした。

3本目にこの金麦糖質75%オフを飲み、軽く衝撃を受けました。

さすがに10本ひとりで一度に飲むとメモすることもままならなくなりそうなので、いつも一緒に飲む友人にも手伝ってもらったのですが、その友人も「ちょっと苦手かな……」と。

苦味はあるけれど、なんていうか苦いだけで、コクも香りもイマイチ。これしか飲んでいないときなら、飲み続けることができたと思いますが、飲み比べて初めて気づきました。

キリンビール 濃い味 新ジャンル

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分2.5%以上3.5%未満 100ml当たり19kcal 脂質0g 糖質0g プリン体0.6〜1.7mg

キリンのサイトの商品紹介ページによれば、

『その名の通り、「濃い味」と「糖質0」を同時に実現し、プリン体も60%オフ(当社比)、しかも、低カロリーなんです。』。

いいことづくめじゃないですか。

飲んでみます。うん、これを飲んでいるだけなら、確かに新ジャンルとは思えない味の濃さを感じます。ちょっとビールに近づいたような。でも、なにか食べながら飲んだとしたら食べ物の味に負けてしまい、濃い味という感覚はあっという間に消えてしまいそうです。

残るのは「濃い味」というより「濃い色」。

濃い味を楽しみたいならつまみはなし、あるいは薄味の料理がいいかもしれません。

ただですね。

この商品、新発売が2011年2月23日。生産工場4つのうち、ひとつが仙台工場でした。発売後わずか半月で販売休止に追い込まれ、再発売できたのは4ヵ月以上経ってからのこと。新発売にあたってのキャンペーンとか、きっといろいろな企画がスタートしていて、新たな計画も予定されていたに違いありません。

そういうものまで、あの日にすべて流れ去ってしまいました。そんな背景を知ってしまうと、応援したくなっちゃいますよ。

サッポロビール 極ZERO 発泡酒

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分4.5% 100ml当たり26kcal 脂質0g 糖質0g プリン体0.00mg

去年一度飲んだことがありますが、訪問先のお宅でビールに続いて飲んだせいもあり、正直、味をまったく覚えていませんでした。その状態で今回飲んでみました。順番としてはこれが5本目です。

「お、おいしい!」

私も、試飲に付き合っている友人も、思わず声をあげました。サッポロビールが唯一出している発泡酒、驚くべきうまさ!

フルーティでありながら、淡麗プラチナダブルほどその香りが鼻に残ることはなく、ビールらしい苦味とコクもうまい具合に加味されています。

そうか、だから昨年はビールの後に違和感なく飲めたことで、かえって記憶から消えてしまったのですね。限りなくビールに近い味の発泡酒、しかもいろんなものがゼロ! 人工甘味料までゼロだそうです。

いや、これは驚きました。サッポロの開発力に感服しました。この時点で、この先発泡酒を買うときはこれにしようと自分の中でルールができました。

やはりおいしいって思う人が多かったのでしょうね。

この商品は、発売約1カ月で販売数量3,000万本を達成、10カ月後には2億本を売り上げています。

しかしその後、国税局から「これ新ジャンルで売り出してるけど該当しないでしょ、発泡酒でしょ。税率の差額115億円払いなさい」というまさかの通告……。一時は生産・販売が中止されました。

そしてサッポロは、1億円の延滞税も加えて116億円を追加納税しました。しかしどうしても納得できなかったのでしょう。自社での再検証により、やはり極ZEROは新ジャンル、いわゆる第3のビールであると確信を得て、「115億円返してください」と国税局に求めたのです。

この反撃にサッポロの執念、それから『極ZERO』に対する絶対的な自信が感じられます。ちなみに国税庁は今年4月、「金は返しません」とサッポロに通知しています(理由は非公開)。この先の展開、ちょっと気になります。

キリンビール のどごしALL LIGHT 新ジャンル

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分2.5%以上3.5%未満 100ml当たり18kcal 脂質0g 糖質0g プリン体0mg

フルーティです。

キリンは、発泡酒や第3のビールにフルーティさを加えるのが好みのようです。『淡麗プラチナダブル』以上にフルーティ、そしてただフルーティすぎるがゆえにビールっぽさがありません。残念ながら人工的な香りがちょっと鼻につく域に達しています。

アサヒビール アサヒオフ 新ジャンル

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分3%以上4%未満 100ml当たり22kcal 脂質0g 糖質0g プリン体0mg

キリンの『のどごしALL LIGHT』に続いてこちらも新ジャンル。

うーん、味がない。友人もうなっています。

実際は味が付いているはずなのですが、それが感じられないのです。7本目ですが、ひとり当たりの本数ならまだ3本ちょいなので、酔っているわけではありません。同じアサヒの発泡酒『クリアアサヒ糖質0』と味の路線が同じだということは感じますが、『アサヒオフ』自体の味は感じ取れません。

飲んでも飲んでも思い出せない味、そんな印象です。

くらしモア スーパー爽生(そうなま) 糖質50%オフ 新ジャンル

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分約4.5% 350ml当たり110kcal 脂質0g 糖質6.5g プリン体不明

ふたりで1本という量を、飲みきることができませんでした。今回試飲した10本のうち、残してしまった唯一のビール、というか新ジャンルです。

ただ、ネットでは「なかなか優秀な新ジャンル」という評価もあったし、ラベルには「きれのある味わいと爽快なのどごし」とあるし、もしかしたら、たまたま私と友人の味覚との相性が悪かっただけかもしれません。

84円(税抜)という安さも、むしろ不安材料でした。

ひとついいことがありました。これを飲んだことで、日本のビール各社がいかに「おいしさ」を求めて企業努力を重ねているかがよくわかりました。

多分、糖質だとかプリン体だとかカロリーだとか、そういうものが削られた発泡酒や新ジャンルは、本来ものすごくまずいのではないでしょうか。それをキリンはフルーティなテイストにすることで、そしてアサヒは辛口を追究することで、回避できているのかもしれません。

キリンビール 淡麗グリーンラベル 発泡酒

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分4.5% 100ml当たり29kcal 脂質0g 糖質0.7〜1.1g プリン体不明

久しぶりに飲みましたが、記憶の中の『淡麗グリーンラベル』よりおいしく感じました。『淡麗ダブルプラチナ』よりはフルーティさが抑えられているせいか、何となく味が薄い印象を受けますが、それゆえに人も料理も選ばないのかもしれません。

誰もが飲みやすく、どんな料理にも合う。そんなキリンの優秀さがよく出ている、優秀な発泡酒だと思います。

アサヒビール スタイルフリー糖質ゼロ 発泡酒

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?
アルコール分4% 100ml当たり24kcal 脂質0g 糖質0g プリン体不明

やはりアサヒの味はしっかり踏襲していて、ドライです。そしてその中に、苦味も感じられます。2番目に試飲した『クリアアサヒ糖質0』との味の違いがわかりにくいですが、クリアアサヒのほうがより辛口っぽいですね。

どちらも万人受けしやすい味だと思います。

さて、今回10種類飲んだうち、味がダントツにおいしかったのは『極ZERO』でした。

次が『淡麗プラチナダブル』。これは個人的には好物の味というわけではありませんが、すごく頑張っていると思います。

そして、その次が『濃い味』。濃い味はここまで上位にランクインするとは思っていなかったのですが、すべて飲み終えたとき、結果として第3位のポジションに鎮座していました。

今回の企画でいろいろ学びました。日本のビールメーカーの味を追究する真摯な姿勢とか、発泡酒や新ジャンルはどうしても人工的な味わいになるとか、ビールと違って飽きるとか。

同時に、本物のビールのおいしさも身に沁みてよくわかりました。『極ZERO』の「ビール風味」の完成度の高さはものすごいと思いますが、やっぱりビールはおいしいです。

数日に一度、1本のビールを大事に飲むか、数本の発泡酒または新ジャンルを帰宅後や風呂上がりにぐいっといくか。上手に使い分けてビールライフを楽しみたいものです。

書いた人:椿あきら

【糖質とかプリン体とかカロリーとか】諸々オフの第三のビール。肝心の味はどうなの?

猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。