結果ありきの決定だー。「大崎事件」の第4次再審請求を鹿児島地裁が棄却した22日、弁護団や支援者に怒りと失望が広がった。最後の闘いとして挑んだ4度目の再審請求から2年余。43年間、無実を叫び続けた原口アヤ子さん(95)の訴えはまた遠ざけられた。

 午前10時、地裁1階の小法廷。原口さんの長女で請求人の京子さんと森雅美弁護団長は書記官から決定文を受け取り、しばらく動けなかった。同席した若手弁護士は手に持っていた「再審開始」の垂れ幕をそっと横に置いた。

 険しい表情で地裁から飛び出した弁護士が「不当決定」の垂れ幕を掲げると、集まった支援者からは「ふざけるな」と怒号が飛び交う。

 「アヤ子さんが死ぬのを待っているのか」。30年前から支援を続ける福一涼子さん(74)は憤った。事件の認知度が低かった1次請求時、署名集めで県内外を共に駆け回った。街頭で心ない言葉を掛けられることもあったが、「(罪が確定して)一度死んだようなもの。生き返るために無罪を勝ち取る」と気丈に振る舞う姿が印象的だった。「寡黙なアヤ子さんが1次請求の開始決定時に見せた笑顔が忘れられない。もう20年…」と肩を落とした。

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 大崎事件はこれまで地裁、高裁で計3度の開始決定が出ている。確定判決は揺らいでいるとも言える。「疑わしきは被告人の利益」とするのが刑事裁判の鉄則だが、無罪への扉はまたも開かなかった。

 「結論ありきだ。本当に新証拠と向き合ったのか」。決定後の会見で弁護団は地裁を激しく批判。3年前の最高裁決定の影響を指摘する声が相次いだ。

 今回の請求で弁護団が『過去最強』として積み上げた新証拠は、門前払いとも言える形で打ち砕かれた。「これ以上何を出せばいいのか」

 1次請求から携わる森団長は「今回はこれまでより、数段緻密な証拠だが認めない。最高裁の壁が大きくのしかかった」と声を強めた。

 鴨志田祐美事務局長は「怒りよりも失望。弱く、困っている人を救うのが司法だ。そういう思いはなかったのか」と批判した。

 京子さんは「『今回は』と待ち望んでいた。母に伝えるのは残念でならない」と声を震わせた。
 
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 長く続く闘いは支援の輪も広げてきた。いずれも再審無罪となった「東住吉事件」の青木惠子さんと、「湖東記念病院事件」の西山美香さんは以前から原口さんを訪れ、誕生日を祝うなど、交流を重ねてきた。青木さんは「私も負けてきた。えん罪が許せないからずっと応援する」。

 大崎事件が起きた1979年に生まれた西山さんはアヤ子さんが「心の支え」といい、涙ながらに訴えた。「何人の裁判官に裏切られればいいのか、何を信じたらいいのか。でも信じるしかないんです」

 【連載「遠い再審」大崎事件請求棄却より】