金沢能楽美術館(金沢市広坂、TEL 076-220-2790)で現在、企画展「水辺の能楽 水紋の美」が開催されている。(金沢経済新聞)

 【パノラマVR】金沢能楽美術館で開催中の「水辺の能楽 水紋の美」会場の様子

 能楽には海や川、池、湖、滝、井戸など水辺にまつわる演目が多い。「能において、水は超越的な存在の出現に不可欠なもの。水辺は異界への入り口ともいえる」と同館学芸員の山内麻衣子さん。夏季を選んで企画された同展では「水辺の能楽」をテーマに、演目を通じて能装束や扇に表された水の意匠(デザイン)を紹介する。

 会場には5つの演目ごとにコーナーを設け、物語と共に装束や扇などを展示する。井戸の水面に恋人を懐かしむ「井筒」、武将の亡霊が海中より現れる「船弁慶」、母親が亡霊となった愛児と再会する「隅田川」など。唐織(からおり)・長絹(ちょうけん)・摺箔(すりはく)など、豪華絢爛(けんらん)で緻密な技が施された装束。扇は能楽の太鼓(金春流)を師事した人間国宝・柿本豊次師(金沢出身)から受け継いだ竹内晴彦さん所蔵の約40点が並ぶ。

 市内の美術館や博物館など17施設が開館時間を延長する夏のイベント「金沢ナイトミュージアム2017」にも参加し、「泉鏡花フェスティバル」のプレイベント戯曲「天守物語」で関連企画を予定する。「能楽師×浪曲師による泉鏡花『天守物語』」(8月5日)は能楽師の安田昇さんと浪曲師の玉川奈々福さんによる朗読を映像作家のモリ川ヒロトーさんが演出する。鼎談(ていだん)「愛かお化けか?!」(9月2日)は鏡花について造詣の深い安田さんと少女漫画家の波津彬子さん、文芸評論家の東雅夫さんが「天守物語は愛かお化けか」をテーマに自由に語り合う。

 山内さんは「江戸時代以降の能装束は殿に見せるため素材からこだわり作られたもので、何百年たっても美術品として楽しめる。デザインも演目により特徴があるので、水辺にまつわる物語と共に楽しんでもらえれば」と話す。

 開館時間は10時〜18時(8月5日・19日、9月2日は20時まで)。月曜休館(8月14日は開館)。観覧料は、一般・大学生=300円、65歳以上=200円、高校生以下=無料。イベントへの参加は同館への電話かウェブサイトで受け付ける。9月24日まで。