「自転車を運転中に、スマートフォンを操作している人をよく見かける。自動車なら反則金などの罰則があるが、自転車はどうなるのか?」。こんな疑問が「SNS特報班」に宮崎市の男性(43)から寄せられた。取材すると、自転車の「ながらスマホ」が県内でも常態化し、課題となっている実態が見えてきた。
 「堂々と画面を見ながら自転車を運転する人は時々見かける。一時停止などに気付かず、本当に怖い」。学校が集中する宮崎市中央西地域自治区内で、登校時の立ち番や夜間の見守りを続ける竹田達則さん(78)=宮崎市霧島1丁目=は危険性を訴える。
 記者も5月上旬の週末に同自治区内を調べると、約1時間で3人の「ながらスマホ」を確認した。竹田さんは「注意したいが、早く通り過ぎるため間に合わない」と悩んでいる。
 「ながらスマホ」は自動車のみならず、自転車でも禁止されている。県警交通部によると、県道路交通法施行細則で規制しており、違反すれば最大5万円の罰金が科される。
 一方で違反者に交付した自転車用交通違反警告カードのうち、「ながらスマホ」を含む携帯電話使用は20年529件、21年521件で推移する。同部の池田健二統括官は「『ながらスマホ』は被害者、加害者にもなり得る危険な行為」と注意を求める。
 全国では「ながらスマホ」で歩行者が亡くなる事故が起きており、加害者が高額な賠償を求められる事例もある。県損害保険代理業協会の小野正芳会長は「『ながらスマホ』だと過失はほぼ運転側になる見込みが高く、賠償請求される」と指摘する。
 賠償額は、けがの慰謝料や通院費などで1千万円を超す例もあるほか、相手が亡くなれば数千万円台になる。寝たきりなど重い後遺症が残った場合は、億単位に跳ね上がる恐れもある。
 こうした状況を踏まえ、県は昨年4月から、条例で自転車利用者に保険への加入を義務化している。小野会長は「自動車保険に特約で付ければ年間数千円で済む。『ながらスマホ』など危険な運転をしないことも大事だが、自転車に乗る以上、必要な備えは惜しまないで」と話している。