県内では性的少数者(LGBTQなど)への配慮や防寒対策のため、高校を中心に学生服の選択制が広がっている。女子生徒向けに、スカートとスラックスの採用が進む一方で、男子生徒もスカートを着用できることをはっきりと示している学校は少ない。専門家は「個性を性別で縛る決まりは改善すべきだ」と学校現場に変化を求める。
 制服がある県立高34校すべてに取材すると、8割を超える29校が選択制を導入していた。ただ、男女の区別なく制服が選べることを公式に示していたのは、本庄(国富町)、延岡工業(延岡市)や高千穂(高千穂町)の3校のみだった。
 このうち本庄高の小玉和清副校長は「女子も男子も、生徒がスカートをはきたいなら『どうぞ』と言う。性別で否定する明確な理由はない」と説明する。2020年度に制服を刷新し、多様性を尊重するため性別を問わずにスラックスやスカート、リボンやネクタイまで選ぶことができる。
 これまでスカートを選んだ男子生徒はいないが、スラックスを愛用する2年の岡元優凪(ゆうな)さん(16)は「『男子も好きならスカートをはけばいいのに』と親と話すこともある」と柔軟な考えも育っているようだ。
 選択肢を示していない学校も、男子からスカート着用の希望があった場合、多くが「個別で検討する」と答えた。しかし、ある教員は「カミングアウトと決めつけられることや、いじめられないか心配」と対応の難しさを打ち明ける。
 公立の中学校でも新たな動きがある。延岡市内の8校では男女共通デザインの「標準服」を4月から採用。導入を推進した岡富中の三樹浩二校長は「生徒の決断を尊重するため、学校や地域も理解し、学んでいく必要がある」と大人の意識の変化が重要という。
 服装のジェンダーレス化は世界的にも進む。宮崎公立大・寺町晋哉准教授(ジェンダーと教育)は「ジェンダーにとらわれない自由の大切さに気付くきっかけにもなる。選択肢が開かれていない状況は変えるべきだ」と指摘している。