被害が深刻化する「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」を食い止めようと、食用甘藷(かんしょ)の産地・串間市大束で対策が本格化している。生産、加工、販売を手がける「くしまアオイファーム」(串間市、池田誠会長)とJA串間市大束(渡邊博康組合長)、串間市の3者が協力し、作付面積の5割超を抵抗性のある品種「紅(べに)まさり」へ転換。大規模な置き換えで収穫増を目指す。
 基腐病はカビの一種「糸状菌」が原因で感染する。県内でも2018年産で確認されて以降、毎年発生。県農産園芸課によると、21年産は県内の栽培面積3420ヘクタールの6・2%で被害が発生。このうち食用は560ヘクタールのうち約35%に上った。国、県も連携し、農薬散布や消毒などの対策が進むが、根本的な解決には至っていない。
 サツマイモの年間取扱量が8千トンに上るアオイファームも、発生後から研究を開始。「気候」「土壌」「外来害虫」の3点からメカニズムの解明を目指す。宮崎大との品種開発にも注力するが、新品種の供給は最短で3年後と見込まれることから、「それまでは抵抗性のある品種に転換して乗り切るしかない」と複数品種での栽培実験を実施。JA串間市大束も独自の試験を行ってきた。
 その結果、「宮崎紅(みやざきべに)」と比較して発生率が大幅に低かったのが紅まさり。10月にはアオイファーム傘下の茨城県の契約農家などから種芋を入手し、大束地区250ヘクタールのうち約140ヘクタールで作付けを終えた。
 JA串間市大束の桑山泰彦専務理事は「57年かけて宮崎紅の産地化を進めてきたが、4年間も病気を克服できなかったのは初めて」と指摘。「組合員は難局を乗り越える手段として転換に同意してくれた。これで効果が出れば」と願う。
 国内有数のサツマイモ専門メーカーであるくしまアオイファームの奈良迫洋介社長は「まずは地元串間市の病気克服を目指す」と強調。市農業振興課の担当者は「産地維持のため、関係機関一体となってこの危機を乗り切りたい」と話している。