執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
自分の頭髪に白髪をはじめて発見すると、「歳をとった!」ということをいやでも感じさせられますよね?
 
見つけるとどうしても抜いてしまいたくなる白髪。
 
でも、抜くことはいいことなのでしょうか。それとも抜かない方がいいのでしょうか。
 
今回は白髪について詳しく解説します。
 

◆白髪のメカニズムとは
 
実は、髪の毛はもともと白いものです。
 
髪の毛が作られる過程でメラニン色素が自然に混ざることで、色がついた状態で生えてきています。
 
メラニン色素には、黒色メラニンである「ユーメラニン」と、黄色メラニンとも呼ばれる「フェオメラニン」があります。
 
髪の色は、この2種類の組み合わせで作られています。
 
ユーメラニンが多ければ黒い髪色に、フェオメラニンが多ければ明るい髪色になります。黒髪である日本人のメラニンは、大部分がユーメラニンです。
 
メラニン色素は、「メラノサイト」という細胞で作られています。
 
そして、メラニン色素を作るには、「チロシナーゼ」という酵素が必要です。
 
チロシナーゼは、加齢などが原因で十分に働かなくなります。
 
すると、メラニン色素が作られにくくなって、髪に色がつけられなくなり、白髪が発生します。
 
 
◆白髪の原因:日常生活が大きく関係
 
チロシナーゼが働かない原因を「加齢」とお話ししました。
 
確かに、歳をとると毛根部のチロシナーゼの量が減って、機能が低下してメラニン色素が作られなくなります。
 
けれど、中には「若白髪」という人もいますね。
 
これはつまり、老化以外の原因でメラニン色素がつくられないことがある、ということを意味しています。
 
それでは、老化以外の原因にはどんなものがあるでしょうか?
 
一般的に「白髪は遺伝する」といわれています。確かに遺伝要素もないわけではありませんが、遺伝だけが原因となるということではありません。
 
実際には、さまざまな要因が相互に絡んでいることがほとんどでしょう。
 
老化や遺伝以外の要因として考えられるのは、生活習慣です。
 
とくに次のことが関係しています。
 

〇食生活
 
健康な髪のためには、ミネラルやアミノ酸、ビタミンなどが必須です。
 
偏った食生活、無理なダイエットなどにより、栄養素が体に行きわたらないと、白髪は、年齢に関係なくでてきます。
 
 
〇睡眠不足
 
不規則な生活で、睡眠不足などが続くと、自律神経のバランスを乱します。すると、新陳代謝や血行が悪くなり、白髪の原因となります。
 

〇ストレス
 
ストレスも自律神経の乱れを起こすので、髪に影響を与えます。
 
白髪が気になってくると、それがまたストレスとなり、悪循環を起こしてしまいます。
 
ストレスは、白髪の要因として、最近増えています。
 
 
〇病気や薬
 
病気や治療薬による副作用でも白髪がでます。たとえば、胃腸疾患や甲状腺疾患などでは、白髪を増やすことがあります。
 
また、薬の副作用でも白髪になることも少なくありません。
 
ところで、「白髪は抜くと増える」などといわれますが、それは本当なのでしょうか。
 
また、抜くことはいいことなのでしょうか。
 
 
◆白髪は抜くと増えるの?
 
白髪は、メラニン色素の働きが衰えて出てくるものなので、抜いても抜かなくても毛穴からは、白髪が生えてきます。
 
しかし、白髪を抜くのは、頭皮のトラブルのもとになります。
 
無理に白髪を抜くと、毛穴周辺の皮膚や毛細血管に傷がつき、頭皮の炎症を起こすことがあります。
 
毛母細胞(髪をつくりだす働きがある)がダメージを繰り返し受けると、髪の毛そのものが生えてこないことになるので、注意が必要です。
 
ですから、「抜いても少しもいいことはない」ということですね。
 
 
◆白髪予防にできること

白髪がちらほら気になり始めたら、改善のための対策を考えましょう。
 
原因のところでもお話ししたように、加齢以外にも白髪の原因はありましたね。
 
次のことに気をつけましょう。
 

〇髪や頭皮の栄養となる食品を摂る
 
髪や頭皮への栄養が不足して白髪になります。髪の毛の成分は、タンパク質が約80%です。
 
そのほか、水分が12〜13%、脂質が1〜8%、ビタミン・ミネラルなどが1%ほどです。これらを摂ることは、白髪予防につながります。
 
髪の栄養となる栄養素と多く含む食品をあげていきます。
 
・タンパク質
 肉、魚、牛乳、豆類、卵など
 
・ビタミンE
 ウナギ、アーモンドなど
 
・ビタミンC
 ブロッコリー、パプリカ、アセロラ、イチゴなど
 
・ビタミンB2
 レバー、ウナギ
 
・ビタミンB6
 バナナ
 
・亜鉛
 牡蠣、ホタテ、豚レバー、納豆、ゴマ、牛肉・豚肉・鶏肉など
 
・カルシウム
 乳製品、小魚、海藻類、モロヘイヤなど
 
・銅
 鶏レバー、牡蠣、納豆、アーモンド、甲殻類など
 
・そのほか
 良質な油、オリーブオイル、エゴマ油など
 
 
身体を温めてくれる根菜類、ニンニク、栗、サツマイモなども効果があるといわれています。
 
また、黒豆、ヒジキ、黒ゴマなど黒色の食べ物もおすすめです。
 
 
〇血行をよくする
 
冷え性だと、血行不良が起こります。頭部は多くの血管が張り巡らされているので、血行不良の影響を受けやすい場所です。
 
頭部の毛細血管まで血液が運ばれないと、毛根のまわりで十分な細胞を作り出すことができなくなります。
 

〇睡眠を十分にとる
 
睡眠不足は、自律神経を乱し、血流そのものを低下させます。
 
また、睡眠不足が慢性的になると、身体が酸素不足になります。
 
酸素は人間の身体を活発にはたらかせる大切な要素であり、細胞を活発に作り出すためには欠かせないものです。
 
 
〇ストレスをためない
 
現代はストレス社会といわれるほど、さまざまなストレスであふれています。
 
ストレスは、自律神経に影響を与え、血管が収縮しやすくなるので血行不良を起こします。
 
また代謝を低下させ、免疫力を弱くさせてしまい、頭皮自体の健康を保つことが難しい状態になります。
 
白髪の原因は、何か1つが原因というわけではなく、いろいろな原因が重なってできていると考えらえます。
 
バランスのよい食生活と規則正しい生活習慣は、健康な髪を作る上での基本です。
 
ふだんの生活を見直してみましょう。
 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供