執筆:藤尾 薫子(保健師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
超高齢化とともに患者数や予備軍が増えていて「認知症」が加齢に伴う病いであることはよく知られています。
 
また最近では、脳の神経細胞が壊されることで認知症が起こってくることも解明されています。
 
さらに、生活習慣病が認知症に与える影響もわかってきて、認知症と体重との関連も明らかになってきているのです。
 
今回は、認知症と体重との関連について、ご紹介していきます。
 
 
◆生活習慣病と認知症
 
飲みすぎや食べ過ぎ、運動不足、喫煙、睡眠不足など、生活習慣の乱れから起こる病気が生活習慣病です。
 
高血圧、糖尿病、脂質異常症、そして肥満などがあてはまり、日本人の死亡原因の約7割を占めています。
 
最近、生活習慣病と認知症の関係も明らかになってきました。たとえば、高血圧の人が脳血管性認知症を発症するリスクは、正常な人の約3.4倍といわれています。
 
また、Ⅱ型糖尿病患者がアルツハイマー型認知症を発症するリスクは、血糖値が正常な人の2.1倍ほど高いという研究結果も出ています。
 
こうしたことから、認知症を予防するために、若い時から生活習慣を改善することが奨励されています。
 
 
◆肥満と認知症
 
メタボリックシンドローム(代謝症候群:通称メタボ)は、内臓脂肪型肥満に、高血圧・高血糖・脂質異常症のうち2つ以上の症状が出ている状態を指しています。
 
目下、メタボは中高年に増えていて、40歳以上の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボやその予備軍ともいわれています。
 
もちろん、肥満それ自体は病気ではありませんが、「万病のもと」ともなり、認知症についても発症のリスクを高めるといわれています。
 
2014年に発表された北米神経学会の研究発表では、肥満体型は標準体型と比べると、記憶にかかわる脳の「海馬」の収縮率が約2倍とのこと。
 
また、国立台湾大学の研究では、肥満度を示すBMI(ボディマス指数)数値が25.5以上の肥満体型は、20.5〜22.9の標準型と比べて、認知症を発症するリスクが約2.44倍にも上るとされています。
 
このように、肥満は認知症の危険因子として認知されています。
 
 
◆やせすぎも要注意!?
 
社団法人老人病研究会によると、アメリカでの研究に、認知症になる前から体重減少が起こるというものがあるそうです。
 
449人の認知症がない正常な高齢者を対象に、ワシントン大学アルツハイマー病センターで、平均6年間の体重変化の調査が行われました。そして、調査期間中に125人がアルツハイマー型認知症を発症しました。
 
この結果、認知症にならなかった人に比べ、アルツハイマー型認知症に罹った人の体重減少は約2倍だったこと、また、発症する前の体重も、認知症にならなかった人たちより約3.6㎏少なかったことが判りました。
 
このように、認知症を発症する前から体重減少が見られることや、認知機能が悪化すると体重も徐々に減少することは日本でも指摘されていて、今後、どうしてそのようなことが起こるのか解明が待たれています。
 
 
◆認知症予防に体重チェックを習慣にしよう!
 
生活習慣を整えるために、毎日定時に体重や血圧などを測定すること、面倒なようでも、セルフチェックを欠かさないことが、認知症に限らず生活習慣病に代表されるような多くの疾病予防にとって、大切であることが認識されてきています。
 
体重の場合、一日のうちで朝と夕方では変動があるので、時間を決めて体重計に乗って、体重の変化をチェックする習慣をつけましょう。
 
上に挙げた研究結果が事実ならば、原因不明の体重減少がアルツハイマー型認知症の予兆になるかもしれません。
 
またもちろん、肥満の場合は、現実的な体重減少目標を設定して、食べ過ぎをやめたり、運動を増やすなどを習慣化していく必要が出てきます。
 
そのさい、家族の協力を得て予防活動を行うことが、長続きし、ひいては、効果的な目標達成につながることでしょう。
 
【参考】
株式会社エス・エム・エス 『認知症ねっと』
 
 
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供