執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
風邪をひいたときなど、軽症であれば市販薬で治すという方も多いのではないでしょうか。
 
そんな市販薬が原因で「スティーブンス・ジョンソン症候群」を発症する可能性があります。
 
どのような症状が現れるのか、詳しく説明していきます。
 
 
◆スティーブンス・ジョンソン症候群って?
 
スティーブンス・ジョンソン症候群は、高熱や倦怠感とともに、皮膚や粘膜に炎症反応が現れる病気です。
 
別名「粘膜皮膚眼症候群」とも呼ばれます。
 
スティーブンス・ジョンソン症候群のメカニズムについては、詳しいことはわかっていません。
 
しかし、薬やウィルス感染(マイコプラズマ感染症など)が原因で免疫機能に異常が生じ、健康な皮膚や粘膜を攻撃してしまうことで起こると考えられています。
 
また、これまでの研究では、遺伝性も指摘されていて、特定の遺伝子タイプを持っていると、発症の可能性が高くなるといわれています(※1)。
 
 
スティーブンス・ジョンソン症候群の年間の発症率は人口100万人あたり1〜6人といわれていて、発生頻度は高くありません(※2)。
 
しかし、治療が遅れた場合には重症化したり、死に至る可能性もあり(致死率は3%)、難病にも指定されています。
 
スティーブンス・ジョンソン症候群のメカニズムがはっきりとわかっていないこともあり、これといった予防策がないのが現状です。
 
ただ、悪化を防ぐためには、早期発見・早期治療が非常に重要であるといわれています。
 
そこで、実際にどのような症状が出たら気をつけるべきなのか、見ていきましょう。
 
 
◆スティーブンス・ジョンソン症候群の症状
 
38℃の高熱や倦怠感に加えて、次のような症状が現れます。
 
 
・発疹(皮膚のブツブツ)、発赤(赤みを帯びた状態)、水ぶくれのような症状(口、目の粘膜、全身の皮膚にできる)
 
・目の充血
 
・目やに
 
・まぶたの腫れ、目の開けにくさ
 
・くちびるや陰部のただれ
 
・排尿時・排便時の痛み
 
・のどの痛みなど
 
 
このような症状は、発症のきっかけとなった薬の服用、あるいは、ウィルスへの感染から2週間以内に現れるのが一般的です。
 
ただ、個人差があり、数日以内に現れる人もいれば、1か月くらい経ってから症状が出る人もいます。また、目の症状は皮膚の症状よりも先に現れることが多いようです。
 
重症化した場合は、多臓器不全や敗血症(細菌やウィルスなどが血液に入り込み、全身症状を引き起こす)を合併したり、視力障害やドライアイ、消化器症状や呼吸器症状(消化器や上気道の粘膜が攻撃を受けることによるもの)、外陰部の癒着、爪甲の変形・脱落など、さまざまな症状をともなうことがあります。
 
とくに、肝機能や腎機能に障害を持っている患者は、重症化が起きやすいといわています。
 
 
◆スティーブンス・ジョンソン症候群は治療できるの?
 
お伝えしたように、スティーブンス・ジョンソン症候群は、早期に治療することで症状の重症化を防ぐことができます。
 
治療にあたって、まず行うのは、原因になっていると考えられる薬を中断することです。その上で、ステロイドを使った薬物療法を中心に治療を行います。
 
ステロイドによる治療が効かない場合には、「血漿交換療法」や「免疫グロブリン製剤大量静注療法」などの治療も併用して行うことになります。
 
なお、目や呼吸器の症状、栄養状態をコントロールし、また、感染症を防ぐために、入院治療が原則となります。
 
 
◆市販薬にも注意が必要

スティーブンス・ジョンソン症候群の多くは、薬が原因です。抗生物質や解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬、総合感冒薬(かぜ薬)などで症状が現れるといわれています。
 
注意が必要なのは、ふだん飲んでいる市販薬でも起こる可能性がある点です。
 
それまで飲んでいて問題がなかったにもかかわらず、ある日突然、発症することがあるのです。
 
たとえば、風邪で発熱の症状があったとき、解熱剤を服用していったん下がった後に再び熱が上がった場合、あなたはどのように対処しますか?
 
再び同じ解熱剤を服用するという方もいるのではないでしょうか?
 
しかし、その発熱は風邪によるものではなく、スティーブンス・ジョンソン症候群の症状の可能性もあります。ですから、いつも飲んでいる薬であっても、100%信頼することは危険です。
 
薬を飲んだ後に症状が悪化したり、ほかの症状がみられる場合には、自己判断で服薬はやめて、医療機関を受診してください。
 
また、そのさいは、服用した薬の情報を必ず医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。
 
【参考】
・※1:NHK クローズアップ現代+『身近な薬の落とし穴 警告!「市販薬」の意外な副作用』
・※2:独立行政法人医薬品医療機器総合機構『重篤副作用疾患別対応マニュアル』
・公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター『スティーヴンス・ジョンソン症候群(指定難病38)』


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供