執筆:柳澤 厚生(医師・医学博士)
 
 
初夏から夏にかけては水着を着る前にダイエットをしたいと思う女性が増える一方、秋になると夏場の無理なダイエットが原因だと思われる体調不良を訴える患者さんもいます。
 
今回は、実際にあった患者さんの事例から、急激なダイエットによる弊害について、ご紹介したいと思います。
 

◆「水着の似合うスタイル」が原因で…
 
昨年も、耐え難い倦怠感を訴える若い女性の患者さんがいました。
 
血液検査をしてみると、血糖値、中性脂肪、悪玉コレステロールの値が高く、ビタミンやミネラルが不足していることがわかりました。
 
このような血液検査のデータは肥満気味で、生活習慣病を抱える中高年の方にはよくみられますが、若い女性には珍しいものでした。
 
患者さんの話しを聞くと、夏前に水着の似合うスタイルになりたいと自己流で断食のようなことをして1か月で8kg近く体重を落としたそうです。
 
目標体重になったのでダイエットを中止しましたが、普通の食事に戻してもめまいや倦怠感が強く体調が戻らないと訴えていました。
 
 
◆急激な自己流ダイエットが招くリスク
 
このように体重を落とすときに、自己流の断食や食事制限をすると栄養不足からめまいや肌荒れなどを起こしやすくなります。
 
必要なエネルギーを得るために、蓄積された脂肪にだけでなく筋肉も、エネルギーに変換され減少します。
 
断食状態から普通に食事を戻しただけで、今度は身体の消化や代謝が追いついていかずにバランスを壊して不調になります。
 
これが身体のリバウンド状態です。
 
急激なダイエット後に、ご飯などの糖質の多いものや脂っぽいものを食べると飢餓状態だった体内では、待っていましたとばかりにそれらの吸収率が高まってしまいます。ところが、ダイエットによって筋量が減っているため、脂肪や炭水化物の糖質をエネルギー変換しにくくなります。
 
急激なダイエットは、脂肪燃焼に関わるレプチンというホルモンも減少させます。
 
そして、食事量を戻した時には吸収率の高まった糖質を抑えるために、インスリンというホルモンもたくさん分泌されるようになります。
 
その結果、太りやすくなることに加え、血糖値が上がりやすくなり生活習慣病にもつながります。
 
 
◆極端な「糖質オフ」は体調不良の原因に

リバウンドしていると実感したら、燃焼しやすい身体を取り戻すために、糖質や脂質の吸収を抑え、運動量を増やす必要があります。
 
たっぷりの野菜の後に、魚や大豆製品、乳製品と低脂肪の肉類などタンパク質を摂ること。
 
炭水化物を抜くと筋肉量がさらに減ってしまうので、玄米や大麦、ソバといった主食も必要です。
 
全く糖質を摂らないと代謝のエネルギーが作られず体調が悪くなります。極端な「糖質オフ」は体調不良の原因にもなります。
 
小麦に含まれるグルテンのアレルギーが倦怠感や原因のこともあります。玄米や大麦、ソバにはグルテンが含まれませんので、食生活を見直してみてください。
 
 
◆ダイエットは専門医への相談がおすすめ
 
ダイエットの目的である「脂肪の燃焼」は、ビタミン類がサポートしてくれます。
 
ですから、健康的なダイエットが行えるよう、栄養療法を実施しているクリニックでサプリメントや食事の相談することをおすすめします。
 
秋は一日の温度差、前日との温度差、台風等による気圧差で体調を壊しやすいときです。
 
夏バテが長引く時とき、検査しても原因不明な体調不良が続くときには、気がつかずに栄養失調になっていることもあります。
 
そのような症状を感じるときには、栄養療法の専門医へ相談に行ってみてください。
 
 
<執筆者プロフィール>
柳澤 厚生(やなぎさわ・あつお)
医師・医学博士。元杏林大学教授、点滴療法研究会会長。国際オーソモレキュラー医学会会長。日本オーソモレキュラー医学会理事長。
日本におけるビタミンC点滴によるガン細胞の抑制研究、統合医療研究の第一人者。
2015年4月からは事業構想大学院大学にて「統合医療」について教鞭をとる。著書多数