前編で、税理士の大河内薫さんに、お金の教育の必要性と子どもたちへの教育法について聞いた。

大河内さんが推奨する教育とは、「お金に関してマイナスなことを伝えないこと」「お金の使い方を実践的に学ばせること」。そのためには、教える側の親にも相応の金融リテラシーが求められる。親はどのように知識を得ていけばいいだろうか。

まずは支出を「浪費」「消費」「投資」に分ける

「僕は最初、子どもだけを教育すればいいと思っていたんです。しかし、僕が講師となってお金の教育をしても、親が『お金のことなんて知らなくていい』と言ってしまうと、子どもも『それなら知らなくていいや』って思ってしまうんですよね。だから、そう言ってしまう親御さんは、子どもと一緒に学んでいくことが必須だと思います」(大河内さん・以下同)

親がお金のことを学ぶ際に、まずできることは、子どもと一緒に家計簿の支出を「浪費」「消費」「投資」に区分すること。

「子どもに区分を教えると同時に、親も見直してみましょう。3つに分けるだけで、うちの支出って『浪費』と『消費』しかないじゃん! とか、危機感が生まれてくると思います。『浪費』『消費』だけでも一生お金が続くのならば、そのままでいいと思いますが、一般的には65歳を機に収入が減るため、きっと『投資』が必要になります。そのことに気づくきっかけになるので、3つの区分は意識した方がいいと思いますね」

「投資」というと、株式投資や不動産投資を思い浮かべてしまうが、習い事や資格試験といった自己投資など、将来的に利益を獲得するための支出は投資に含まれる。ハワイ旅行に行くための貯金も、「投資」と言えるかもしれない。

また、家計簿は夫婦どちらかが管理するのではなく、子どもも含めて家族全員が収入や支出、税金、社会保険料などを把握することが大事だという。そうすることで、家族全体の金融リテラシーが上がっていくのだ。

親世代の“お金の教育”こそ急務

「お金は卑しいもの」という考えが根ざしているために、支出を分けていったとしても、意識が切り替えられないという人はいるだろう。

「お金に関する間違った常識を払拭するには、書籍が効果的。近年は、お金のイメージを変えてくれる書籍が結構出てきています。例えば、投資家・村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』は、15歳に向けて書かれた書籍なので理解しやすいですし、お金に対してフラットに向き合えるようになると思います」

「お金って卑しいし、難しい」と敬遠するのではなく、書籍などを手に取ってみる。その行動が、意識や感覚を変えていくきっかけになるのだ。

「子どもの教育について話してきましたが、親世代にとってもお金の教育は必要だと思います。今後、何が起こるかわからない社会になるのは確かで、50代でリストラされるかもしれないし、年金が70歳からの支給になるかもしれない。100歳まで生きることも考えられますよね。この社会において、何も考えずに生きていると、資金がショートする可能性があります」

将来に向けて資金を工面するためには、お金に関する知識を得ていかなければならない。支出の区分や書籍での学習は、そのハードルを下げてくれるだろう。

知識があれば騙されず、お金を有効活用できる!

「お金の知識を得ることで、将来に備えられるだけでなく、騙されなくなると思います。世の中には、合法だけど詐欺めいたものがあるんですよね。例えば、クレジットカードのリボ払い。若い子ほど使いがちですが、フタを開けてみると、使った金額より利子が多くなっていることはよくあります。知識があれば、利用する前にその仕組みに違和感を抱けるはずなんです」

大河内さんの話によると、さまざまな金融商品の中には、手数料が大きすぎるものもあるという。

「金融リテラシーが高い人間からすると、絶対に手を出さない商品はあります。ただ、決して違法ではないので、知らずに購入してしまっても、お金は返ってきません。社会全体のリテラシーが上がれば、そういう商品は淘汰されていくはずなんですよね。そうなれば、もうちょっと生きやすい素敵な世の中になるのかなって思います」

お金の知識を得ることで、より効率的にお金が使えるようになり、将来的に手元に残るお金が増える。そんな未来のため、子どもも大人も関係なく、お金の教育は必須といえそうだ。まずは家計簿を区分するところから、始めてみよう。
(有竹亮介/verb)

<合わせて読みたい!>
現役税理士・大河内薫が語る“今こそ必要なお金の教育”前編