前回まででゴム先物の相場の歴史をご紹介してきましたが、「なんとなく流れは分かったけれど、先物の用語の意味がよく分からない」、「データはどうやって調べればいいの?」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで用語の簡単な解説とデータの探し方の第1弾として、今回は先物の銘柄と価格を取り上げてみます。

限月は何と読む?

まずは相場の解説の記事を見てみましょう。出典はゴム報知新聞NEXTの人気連載、小菅氏のマーケットアナリティクスです。

「JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=230〜250円の水準で方向性を欠く展開になった・・・一方で、こうした方向性に乏しい展開になっているのは期先限月であり、当限はこれとは全く異なる値動きを見せている。昨年末の268.80円に対して、1月14日の取引では300円台に乗せる急伸地合になっている。この結果、当先の逆サヤ(期近高・期先安)は60円を超える状態になっているが、サヤ修正の動きは見送られている。」(2021年1月18日記事)

上の記事を見ると、どうも同じゴム先物(RSS3先物)でも異なる種類の銘柄があるようです。これはいったいどういうことでしょう?

そもそも先物取引ですが、教科書的に表現すると「(1)将来の予め定められた期日」に「(2)特定の商品(ゴム先物であれば天然ゴム)」を、「(3)現時点で取り決めた価格」で「(4)取引所で売買」し、「(5)途中で反対売買することや、取引最終日までポジションを持ち続けて決済することで取引を終了する」というものになります。

ここで「(1)将来の予め定められた期日」は、具体的には「2021年3月」とか「2021年6月」といった先物取引の最終決済(買い手に天然ゴムを渡し、売り手に代金を渡すこと)が行われる月のことで、これを専門用語で「限月(げんげつ)」と呼びます。「取引の期限となる月」ということですね。最終決済が行われる月が違えば別の銘柄となり、区別するために「2021年3月限(さんがつぎり)」、「2021年6月限(ろくがつぎり)」という言い方をします。

ちなみに大阪取引所のRSS3先物では、その限月の取引最終日(「納会日(のうかいび)」とも言います)は同じ月の最終営業日(受渡日)から起算して5営業日前(2021年1月限ですと2021年1月25日)になります(なお12月の場合は28日となり、もし28日が休日または最終営業日の場合は繰り上げになります)。

そして銘柄数ですが、2021.年1月22日現在ではRSS、TSR先物ともに直近6限月(異なる限月が6銘柄、1銘柄の取引期間は6か月)上場しています。このあたりは文章ではややこしいですので具体的な例で見てみましょう。

RSS先物の銘柄とスケジュール(2021年1月22日現在)

このうち取引最終日が最も近い銘柄を「当限(とうぎり)」または「1番限(いちばんぎり)」といい、上の例では2021年1月限のこととなります。また当限から順番に、「2番限(にばんぎり)」、「3番限(さんばんぎり)」・・・と表現していきます。ここでは2021年6月限が「6番限(ろくばんぎり)」となります。

当限が取引最終日を迎えた場合、その翌営業日に2〜6番限は新1〜5番限となり、新しい銘柄(上の例では2021年7月限)が新6番限として取引を開始することになります。

ところで当限に近い銘柄のことを「期近(きぢか)」、遠い銘柄のことを「期先(きさき)」と表現しますが、引用した記事のように1番限のことを期近、6番限のことを期先と限定して呼ぶこともあります。

いまどの銘柄が取引されているのかは、JPXウェブサイトの商品先物価格情報(先物・オプション関連→商品先物価格情報→ゴム先物(RSS3/TSR20)先物)、各銘柄の取引最終日は取引最終日・受渡決済期日ページで確認することができます。

なお各限月の価格差を「限月間(げんげつかん)スプレッド」といいます。ゴム先物では他の条件が同じであれば、天然ゴムを倉庫で保管するコストが掛かるため、通常は期先になるにつれ価格が高くなる傾向があります(これを「順ザヤ」または「コンタンゴ」ともいいます)。

ただし需給や経済状況、将来価格の見通しの変化などにより、期近の方が期先よりも高くなることもあります。これを「逆ザヤ」または「バックワーデーション」といいます。

RSS先物の限月間スプレッド

2020年6月時点では順ザヤであったが、年後半から逆ザヤ傾向が続き、2021年に入って期近と期先のスプレッドが拡大している。
出典:大阪取引所

ゴム先物の値段

大阪取引所で取引されているRSS3先物とTSR20先物価格は、ともに1キロあたりの天然ゴムの値段となります。ですがRSS3とTSR20では先物の値段を構成する価格の要素が異なります。これは最終決済を行う際の受渡方法に違いがあるためです。

最終決済において、RSS3は日本での倉庫渡し、TSR20は指定された港(タイ、マレーシア)での本船渡し(FOB)となります。これはつまり、TSR20先物価格はRSS3先物価格と異なり、日本へ運ぶためのコンテナ運賃や日本での通関費用、倉庫の保管費用などが含まれないということになります。

出典:大阪取引所

大阪取引所のゴム先物取引には、「日中取引(9:00〜15:15)」と「夜間取引(16:30〜19:00)」があり、株式等と同じように四本値(始値、高値、安値、終値)が統計データとして公表されます。ここで注意点は、夜間取引は「翌営業日の取引」となることです。つまりその日の「日通し」の取引データは、「前営業日の夜間取引+当日の日中取引」の合算となります。

また当日の取引終了後、評価損益や証拠金の計算などで使われる価格である「清算値段(帳入値段ともいいます)」が、取引最終日の場合は最終決済の値段となる「受渡値段(最終帳入値段ともいいます)」が公表されます。商品先物の世界では通常、統計や価格チャート等での値段はこの清算値段を使用します。

当日の取引データはJPXウェブサイトの商品先物価格情報(先物・オプション関連→商品先物価格情報→ゴム先物(RSS3/TSR20)先物)やみんかぶ先物の価格/チャート、また過去の日別の取引データは、2020年7月27日以降では大阪取引所日報、2020年7月24日以前ではTOCOMのヒストリカルページ(約定値段・出来高・取組高)で確認できます。

JPX商品先物価格情報(RSS3先物の日中取引)

出典:日本取引所グループ

価格のヒストリカルデータは2020年8月以降の月次ではJPXの月間相場表、年次では年間相場表が、2020年7月以前の月次ではTOCOMの月次統計資料(統計月報)から取得できます。

また開所以来のゴム先物の月次データはJPXのゴム先物情報の「上場来の月次取引データ(1952.10〜2020.07)」にあります。ゴム先物相場の歴史についてはこちらで取りまとめていますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

さて、ここまで読んで頂ければ冒頭に引用した相場の解説記事がよく分かるようになったのではないでしょうか。

今回はゴム先物の銘柄や価格の用語やデータの探し方をまとめてみました。次回では取引高や投資家別の取引情報、建玉残高、在庫統計などをご紹介いたします!

※次回の更新は2021年2月9日(火)頃の予定です。

【もっと知りたい方に!】
北浜投資塾「先物取引」
JPX「天然ゴム先物ファクトシート」
TOCOM「ゴム取引の基礎知識」
宇佐美洋・小野里光博「入門 商品デリバティブ」

 

(著者:大阪取引所 デリバティブ市場営業部 矢頭 憲介)
(東証マネ部!編集部)