一般的に投資信託には、販売会社・運用会社・信託銀行といった3つの機関が携わっている。もし、そのなかの1つでも破綻するようなことがあったら、保有している投資信託は無価値になってしまうのだろうか。

万が一の際に資産はどうなるのか、投資家が行うべき手続きは発生するのか、投資信託に詳しいファイナンシャルプランナー・大地恒一郎さんに教えてもらった。

販売会社が破綻しても投資信託への影響はゼロ

「投資信託販売の窓口となる証券会社や銀行などの販売会社が破綻したとしても、投資信託そのものには何の影響もありません。販売会社は、投資信託の運用や管理に関わっていないからです」(大地さん・以下同)

販売会社の役割は、あくまで投資信託という商品の販売にある。投資信託の運用は運用会社、投資家が預けた信託財産の管理は信託銀行が行うため、販売会社が破綻しても投資信託そのものがなくなることはないのだ。

「1997年に販売会社である山一證券が自主廃業した際も、扱っていた投資信託はほかの販売会社に引き継がれ、投資家が影響を受けることはなかったようです。販売会社が破綻した場合、基本的に保有している投資信託は別の販売会社へ移管されます」

資産がなくなる心配はないものの、「移管される販売会社で口座を作る必要は出てくるだろう」と、大地さんは話す。

「現在は『投信振替制度』があるので、さほど手間はかからないと思われますが、移管先の販売会社が決まったら、氏名や住所の届け出や口座開設の手続きが必要になると思われます。移管先の販売会社は、投資家自身で選ぶケースも、自動的に指定されるケースもあるようです」

運用会社が破綻しても資産は保障される

では、投資信託の運用を担う運用会社が破綻した場合は、どうなるのだろうか。

「結論から言うと、運用会社が破綻しても、投資信託がなくなることはありません。投資信託の運用が別の運用会社に移管される、または破綻時に運用が終了して繰上償還されるかのどちらかになります」

投資信託の運用が終了する場合は、その時点での基準価額で解約され、資金は投資家に返還される。信託財産で保有する有価証券を売却する際の手数料や、信託期間満了時にかかる税金は発生するものの、運用会社が破綻したからといって、投資信託が無価値になったりすることはない。

「投資信託が保障される設計になっていますし、そもそも運用会社が破綻するという前例はほとんどありません。破綻による繰上償還の事例も聞いたことはないので、保障されているということを覚えておけば問題ないと思います。山一證券の子会社だった山一證券投資信託委託もパートナーズ投信に社名を変え、数度の合併の後、現在は三菱UFJ国際投信になっています」

信託銀行の破綻時は財産移管または信託終了

そして、信託銀行が破綻したとしても、販売会社・運用会社と同様に、投資信託がなくなることはないという。

「信託銀行は信託財産を管理していますが、信託財産と銀行自体の財産は区分して管理することが義務づけられています。そのため、破綻しても信託財産が減ることはありません」

運用会社と同じように、信託財産が別の信託銀行に移管されるか、その時点での基準価額で解約されるかのどちらかになる。

「山一證券が自主廃業した時、子会社の山一信託銀行が現在のオリックス銀行(旧オリックス信託銀行)に譲渡されたのですが、オリックス銀行では投資信託の受託を引き継がなかったため、山一信託銀行に預けられていた信託財産の多くが、ほかの信託銀行に移管されたと聞いています」

万が一、各機関が破綻したとしても、投資信託という資産を失うことはない。もちろん破綻するリスクの低い金融機関を選ぶことが大事だが、投資信託を選択する際の安心材料の1つとなるだろう。
(有竹亮介/verb)