このコーナーでは日経電子版の記事を読むことで資産形成力のアップを目指します。実際のニュースやコラムを引用し、初心者には難しく思えるような用語をかみくだき、疑問点を解消していきます。金融・経済ニュースをどれだけ読みこなせるかは投資のリテラシーそのものです。日々の情報にリアルタイムで動ける実践力を養いましょう。

13回目はREIT(「リート」と読む)を取り上げます。相対的に高い利回りが魅力で、個人にも機関投資家にも人気があります。実物はめったにみれない株券や米国債などと違って、不動産は「〇区の△ビルを保有」と示せば想像がつきます。こんな「見えるわかりやすさ」も投資行動につながっていると思われます。日本経済新聞でも取り上げる頻度の多いREITですが、まずは基本的な商品性から理解に努めていきましょう。

「不動産の賃貸収入」を配分、高い利回りが魅力

リートの「REIT」とは、英語のReal Estate Investment Trust(不動産投資信託)の頭文字をとっています。日本のREITはJapanをくっつけてJ-REITということもあります。一般の投資信託では投資家から集めた資金で株式や債券を買いますが、REITはビルやマンションなど複数の不動産を購入します。そして、物件から得る賃料収入や売却益を投資家に分配金として支払うわけです。

マンション購入など実物の不動産だと1000万円単位の資金が必要になりますが、REITは証券化によって数万円程度の小口で投資できるようになっています。取引所に上場しているので、株式と同じように簡単に売買できるのも利点です。

しかし、なんといっても特徴は高い分配金でしょう。税法上の仕組みを活用することで3〜8%前後の利回りを実現しています。ゼロ金利の環境でも一定の収益分配金を期待できる点が、国内外の投資家を引き付けている理由です。

サンプル記事をみてみましょう。

東証REIT指数の2000台回復はここではあまり意識せず、なぜ投資妙味があるのか、という点を考えてみましょう。

賃貸マンションをイメージしてください。月額10万円の家賃が翌月から20万円に上がったり、逆に半値に減額されたりすることってあるでしょうか? ないですよね。

また「今月から景気が悪くなったので来月には退去しますよ」というケースもまずありません。半年〜1年という期間であれば入居者の変動もそこそこありますが、それでも公示地価をみても察しの通り、賃料の変動はせいぜい年間数%から10%未満といったところでしょう。

これが株式なら1日で1割はざらに動きますし、1年だと3倍や4倍になることも少なくありません。といって債券のようにほとんど動かないわけでもありません。REITは株式と債券の中間的な属性を持っており、ミドルリスク・ミドルリターンの商品といえます。

東京の不動産は世界主要都市では「割安」との見方も

新型コロナの影響で不動産の先行きは影を落としていますが、こういう局面でも資産価値が相対的に下がりにくく、しかも低金利の中で利回りが高い水準で安定していることが投資妙味を高めています。また、世界には不動産利回りが1%程度の大都市圏もあり、低くても3%台を保っている日本のREITは割安に映るため、外国人投資家が積極的に買いを入れているわけです。

①不動産投資信託(REIT)=「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略でリートと読む。主に賃貸物件をポートフォリオに組み入れる投信で、1980年代バブル期のように土地や建物を転売して稼ぐ運用はしない

②東証REIT指数=東京証券取引所に上場するREIT全体の値動きを示し、J-REITを運用する投資家のベンチマーク(運用成績の比較指標)

③利回りを確保する資産=株式ほどのリスクを取らず、債券よりは高い利回りを安定的に得られるミドルリスク・ミドルリターン的な商品という意味

④投資法人=投資をするための設立形態の1つ。難しく考えずに「会社」とみなせばよい。株式会社に置き換えると、株主はREITでは「投資主」、株式が「投資口」という

⑤オフィス型=リートは運用する不動産によって大きく7つほどのジャンルに分かれる。(1)オフィスビル(2)商業施設(3)ホテル(4)住居(5)物流(6)ヘルスケア(7)総合(「複合」を区分する場合もある)――などで、それぞれ値動きやリスクに特徴がある

では、いつものようにあえてかみくだいて直した記事をみましょう。

REITは金と並んで「代替資産」「オルタナティブ資産」などと呼ばれることもあります。株式や債券などの伝統的な金融商品とは異なった値動きをし、実物資産の裏付けがあることを理由に分散投資の有力な選択肢として市場が成長してきました。

しかし、最近ではグローバル化の浸透で、投資行動が世界でみな同じようになってしまい、REITも株や債券と同じような値動きをするようになりました。つまり、「リスクの分散」が効きにくくなってきているわけです。

しかし、REITを十把ひとからげにとらえるのではなく、用語解説⑤で触れたようにREITのポートフォリオが何かを見極めることで効果的な分散投資は可能になります。次回はもう少し細かくREITの種類や売買の際の投資指標の見方などを解説する予定です。

(日本経済新聞社 コンテンツプロデューサー 田中彰一)