投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年11月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「外国株式、外国債券が流入超を牽引」

11月の資金流出入動向は12ヵ月連続の流入超となった。流入額は約8,260億円と前月(約4,750億円)から約3,500億円以上増加した。

資金流入では、外国株式への流入額が約7,290億円と前月(約3,950億円)から大きく増加した。外国株式の流入額が7,000億円を超えるのは2021年4月以来7ヵ月ぶりとなった。また、外国債券が5ヵ月ぶりに流入超に転じ、流入額は約710億円となった。

一方、国内株式への流入額は約80億円の流入超と、前月(約1,280億円)から大幅に減少した。インデックス型、アクティブ型(小型株以外)の流入額が減少したことが影響した。

資金流出では、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券および不動産投信の4カテゴリーが継続して流出超となった。

個別ファンドでは、「GSグローバル・ターゲット戦略債券ファンド2021−11(限定追加型)」(GS)(約1,280億円)が資金流入で1位となった。2位は「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約1,260億円)、3位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約760億円)と続いた。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「国内債券を除くすべてのカテゴリーがマイナス」

11月の金融市場は、景気回復を背景に米欧の物価上昇ペースが加速する中、FRBやECBによる金融政策正常化の動きを巡る思惑から方向感を探る展開が月の下旬まで続いた。その後、月末にかけて新型コロナ変異株を巡る懸念が強まると、急速にリスクオフとなった。

株式市場は全世界的に下落した。米欧で好調な企業決算が相次いだことや、早い時期の利上げに慎重な姿勢が示されたことを背景に月初は堅調な動きとなったが、米国でインフレ率が一層上昇したことを受けて金融政策の正常化が早まるとの見方が強まり、上値は限定的となった。一進一退の動きが続く中、月末にかけてオミクロン株へのワクチンの有効性が大きく低下する可能性が報道されると、株価は急速に下落した。

債券市場は上昇(金利は低下)した。米欧では、月上旬は早期利上げ観測が後退したことで上昇(金利低下)した。その後、インフレ加速への懸念やFRBのパウエル議長再任報道により一旦下落(金利上昇)したが、オミクロン株への警戒が高まると再度上昇(金利低下)して月末を迎えた。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円高となった。米ドル・円は金利の動きを受けて上旬には1ドル112円台後半まで円高ドル安となったが、月後半には一時115円台まで円安が進行。月末にはリスクオフにより急速に円高となり、ドルは再び113円台に下落した。ユーロ・円は、ECBによる早期利上げ観測の後退やユーロ圏の感染拡大、オミクロン株への懸念から月間を通してユーロ安円高傾向が継続した。

これらを背景に、当月のリターンは、国内債券を除くすべてのカテゴリーがマイナスリターンとなった。とりわけハイイールド債券カテゴリーが最も大きく下落した。オミクロン株の影響によりクレジットスプレッドが拡大し、ハイイールド債券市場が世界的に下落したことに加え、新興国を含む幅広い通貨に対して円高が進行し通貨選択型ファンドでは非常に下落率が大きくなったファンドも散見された。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数はほぼ横ばいながら設定額は大幅に増加」

当月の新規設定本数は25本、設定額は約1,250億円となった。設定本数は前月対比でほぼ横ばいの一方、設定額は2倍以上に増加した。

新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、国内外企業の社債を満期日まで保有する持ち切り運用を行う「GSグローバル・ターゲット戦略債券ファンド2021−11(限定追加型)」(GS)の約1,270億円。次いで、ESG評価の高い複数のテーマ型ETFに分散投資する「お金のデザイン・グローバル・ソーシャル・デベロップメント・ファンド」(お金のデザイン)の約150億円となった。

新規設定金額、設定本数の推移

最後に、11月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)