ふるさと納税を利用して税額控除を受けようとする場合、ワンストップ特例制度を利用する方法と確定申告する方法があります。例えば、期間中に寄附をした自治体が6団体以上あれば確定申告しなければなりません。

本記事では、ふるさと納税で確定申告が必要となる具体的ケースや、申告手続きの簡素化について解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、故郷や応援したい自治体に「寄附」することです。生まれ育った自治体で医療や教育等の住民サービスを受けても、進学や就職を機に都会に移ると故郷の自治体に納税できないという課題を解消すべく、本制度が誕生しました。

主な特徴は、自治体から返礼品を受け取れる点や寄附した金額の一部を税金から控除できる点です。税金控除の仕組みや金額の上限、対象期間を解説します。

所得税や住民税が控除(還付)

ふるさと納税をした後に税額控除の手続きをすれば、自治体に寄附した金額から2,000円を引いた額が翌年の所得税・住民税から控除され、実質の自己負担額を2,000円にすることができます(一定の上限あり)。所得税は控除分が確定申告後に還付され、住民税は翌年6月以降の1年間で控除分が減額されます。

2015年4月1日より、確定申告せずとも寄附金額を住民税から控除できる制度がはじまりました(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。詳しい内容については、以下の記事も参考にしてください。

ふるさと納税のワンストップ特例で住民税を控除!計算方法も紹介

全額控除される上限

ふるさと納税では、自己負担額2,000円を除く全額を所得税や住民税から控除可能です。ただし、金額には上限があります。式と一緒に確認しておきましょう。

(1)所得税から控除(還付)される金額

(ふるさと納税額 − 2,000円)× 所得税率

上記のふるさと納税額は総所得金額等の40%が上限です。

(2)住民税から控除できる金額(基本分)

(ふるさと納税額 − 2,000円)×10%

上記のふるさと納税額は総所得金額等の30%が上限です。

(3)住民税から控除できる金額(特例分)

(ふるさと納税額 − 2,000円)×(100% − 10%(基本分) − 所得税率)

(1)や(2)で控除しきれなかった金額を、(3)で全額控除できます。ただし、住民税所得割額の2割が限度です。

(1)、(2)、(3)の金額を足し合わせても2,000円を除いたふるさと納税額から控除しきれない場合は、自己負担額が2,000円を超えてしまいます。

税金控除となる対象期間

ふるさと納税は、いつでも手続きできる制度です。ただし、控除の申請手続きをする際には、年単位(1〜12月)でとらえられます。

例えば、1月10日にふるさと納税をした方が11カ月後の12月10日にふるさと納税した場合でも、控除額はあわせて計算されます。ケース次第では、2,000円を超える部分のふるさと納税を全額控除できる上限を超え、自己負担額が大きくなる可能性もあるため注意しましょう。

参考:総務省「ふるさと納税ポータルサイト ​​よくわかる!ふるさと納税」

ふるさと納税の寄附金控除を受ける方法

ふるさと納税で寄附金の控除を受けるためには、ふるさと納税ワンストップ特例制度(以降、ワンストップ特例)を利用するか、確定申告が必要です。ワンストップ特例で申請した場合、所得税からは控除されず、所得税から控除予定だった金額を含めた控除額全額が、翌年度の住民税から控除されます。

ワンストップ特例を利用できるケースと、確定申告でなければならないケースがあります。それぞれの違いを確認していきましょう。

ワンストップ特例を利用する

各納税先の自治体にワンストップ特例の申請書を提出することで、この制度を利用できます。確定申告せずに、手軽に控除を受けられる点が利用のメリットです。

ただし、利用にあたって以下の要件を満たさなければなりません。

●ふるさと納税する自治体が5団体以内である
●確定申告が不要な給与所得者である

確定申告する

期間内でふるさと納税した自治体が6団体以上ある場合は確定申告しなければなりません。また、給与の収入金額が2,000万円を超える給与所得者や個人事業主のように、もともと確定申告が必要な方も対象です。

さらに、ワンストップ特例の申請期限に間に合わなかった方も確定申告しなければ寄附金控除が受けられません。基本的に、ふるさと納税した年の翌年1月10日(必着)が提出期限です。

ふるさと納税を確定申告する方法

ワンストップ特例を利用するケースと比べると、確定申告で申請するケースでは少し手間がかかります。ただし、確定申告に必要なものや流れをしっかりと理解しておけば、決して難しい手続きではありません。

ここでは、確定申告の概要や、ふるさと納税を確定申告する方法を詳しく解説していきます。

確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得から納めるべき税金を計算し、税務署に所得税の申告・納税をおこなう手続きのことです。確定申告する必要がある方は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日の間に、自分の住所地の所轄税務署に対して手続きしなければなりません。

確定申告に必要なもの

会社員が確定申告する際に必要なものは、主に以下4点です。

●自治体から送られてくる寄附金受領証明書
●勤務先で発行される源泉徴収票
●通帳やキャッシュカードなど還付金を受け取るための口座番号がわかるもの
●本人確認のためのマイナンバーカード

会社員が確定申告する際の流れ

会社員がふるさと納税で確定申告する場合の流れは以下のとおりです。

1.寄附金の使い道や返礼品の内容を踏まえつつ、ふるさと納税する自治体を決める。
2.選択した自治体でふるさと納税(寄附申込み・支払い)する
3.寄附を証明する書類(寄附金受領証明書)が自宅に届いたら、大切に保管する。
4.国税庁の確定申告のホームページにアクセスし、確定申告書を作成する。
5.確定申告書を郵送・持参・e-taxのいずれかの手段で提出する
6.ふるさと納税した年の所得税から控除(還付)される
7.翌年度分の住民税から控除される

参考:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」

令和3年分以降申告手続きが簡素化

ワンストップ特例と比べるとやや手間のかかる確定申告ですが、2021年(令和3年)分以降は手続きが簡素化されました。当初、添付が必要とされていた「寄附金受領証明書」以外の書類でも対応可能になった点がポイントです。

ただし、適用にあたっていくつかの要件を満たさなければなりません。詳しく解説します。

寄附金控除に関する証明書の添付で可能

2021年(令和3年)分以降は、特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」を添付することでも対応できます。ただし、主に以下の項目が記載されていることが条件です。

1.寄附した人の氏名や住所
2.年間の寄附額
3.寄附番号
4.寄附した年月日
5.寄附先の名称及び法人番号

その他にも、いくつか条件が存在します。それぞれ確認していきましょう。

特定事業者の発行が条件

「寄附金控除に関する証明書」は、特定事業者の発行が条件です。特定事業者とは、地方公共団体と仲介契約を締結し、国税庁長官からの指定を受けている業者を指します。

2022年5月20日時点で、該当する業者は15社です。業者名が気になる方は、国税庁のサイト(国税庁長官が指定した特定事業者)から確認してください。

電子データはXML形式での発行が必要

電子データで証明書を取得する場合、国税庁の指定する形式(XML)でなければなりません。PDFは対応不可です。

XML形式はテキストデータの羅列のため、そのままの形式での閲覧・印刷に適しておりません。e-Taxが可能な環境が整っている場合、XMLファイルを読み込んで確定申告書に反映し、そのまま提出可能です。e-Taxとは、インターネットを通じて税金の申告や申請などの手続きをできるシステムを指します。

証明書を活用した申告方法とは

証明書を活用した申告方法の一つに、e-Taxで電子データを確定申告書に添付して送信することが挙げられます。e-Taxを利用すれば、読み込まれた数字から控除額を自動計算できる点がメリットです。

そのほか、以下の方法でも証明書を活用して申告できます。

●QRコード付証明書等作成システムで読み込み、プリントアウトした書類を確定申告書に添付して申告
●郵送で受け取った紙の証明書を確定申告書に添付

参考:国税庁「令和3年分の確定申告からふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化されます」
参考:国税庁「国税庁長官が指定した特定事業者(令和4年5月20日現在)」

ふるさと納税の確定申告は難しくない

ふるさと納税で寄附した自治体が6団体以上あれば、税金の控除を受けるために確定申告が必要です。ワンストップ特例よりも少し手間がかかります。

しかし、2021年(令和3年)分以降は申告手続きも簡素化されており、流れを理解しておけば決して難しい作業ではありません。この機会に、故郷や応援したい自治体へのふるさと納税を検討してみてはいかがでしょうか。

ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)

監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。