今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。

そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。

今回は、「アースノーマット」や「ゴキジェットプロ」などの虫ケア用品をはじめ、入浴剤、オーラルケア用品、消臭芳香剤、園芸用品などを扱う大手メーカー「アース製薬株式会社」の株主優待です。

聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?

当社では、株主様はお客様であり、当社の最大の応援者だと思っています。ですから、日頃当社に投資をしていただいている株主様に感謝の気持ちを表したい、今後も長期の投資を継続していただきたいという想いもあり、株主優待を導入しました。

優待を導入した時期は、2006年からです。当社は日用品メーカーですので、株主様には当社の商品を幅広く使用していただきたいと思っております。ですから、優待内容は自社商品の詰め合わせセットにしています。

優待の導入当初は、年に1回100株以上保有の株主様に2,000円相当の自社商品の詰め合わせセットを贈呈させていただくという形でスタートしました。

翌年2007年には、保有株数によって優待の内容を2つに分けました。

100株以上1,000株未満の株主様には2,000円相当の自社商品の詰め合わせセット、1,000株以上保有している株主様には、3,000円相当の自社商品の詰め合わせセットを贈呈することになりました。また、同年にそれまで年に1回優待を贈呈していたのを、2回に変更しました。

さらに、2018年からは、長期保有優遇制度を導入しました。100株以上1,000株未満に加えて、3年以上継続保有している株主様には、3,000円相当の当社グループ商品の詰め合わせセットを贈呈させていただくことにしました。このように4回の大きな変遷を経て、現在に至っています。

――優待導入当初から優待内容はどんどん進化しているのですね。御社の株主の方を大切にしている姿勢が伺えます。ところで、御社の取り扱っている商品は、ごきぶりホイホイやバスロマン、モンダミンなど、本当に幅広いですよね。商品数がすごく多いので、優待品を選ぶときにご苦労があるのではないかと思いますが、いかがですか?

私は総務部に所属しているのですが、まず、総務部で事前に売れ行きの好調な商品や株主様にぜひ使っていただきたい商品などをリストアップします。その後、営業や物流、お客様窓口などの関係部署に意見を聞きます。「この商品は売れ行きが好調だから採用しよう」、「この商品は改良する予定だから今回は見送ろう」など、各部署からの見解を聞き、最終的に贈呈する商品を決定しています。

――関係部署との調整は大変そうですね。

そうですね。
また、先ほどもお話しましたように、当社の優待は年に2回で、6月30 日基準日の優待は9月に発送、12月31日基準日の優待は3月に発送していますが、時期によって贈呈する商品を工夫しております。3月に発送する商品は、夏に向けて使えるように虫ケア用品を中心にラインナップし、9月に発送する商品は、秋から冬にかけて寒くなってきますので入浴剤、また通年を通して使用できるトイレの消臭剤やお掃除用品などの家庭用品を中心にラインナップしています。

基本的に優待内容は毎年変えているのですが、ここ数年は、コロナ禍ということもあり、マスクは定番で入れています。マスクは、当社グループ会社の白元アース株式会社の商品なのですが、最近は、当社の事業を幅広く知っていただきたいということもあり、グループ会社の商品も入れるようにしています。

――送る時期やグループ会社の商品なども配慮して、ラインナップする商品を選んでいるわけですね。

配慮という点では、虫ケア用品とオーラルケアなどの商品は、一緒に入れないようにしています。ゴキブリの絵が書いてある商品とお口に入れる商品が一緒に入っていたらさすがに嫌ですよね。

それと、ジレンマという点では、株主様にぜひこの商品を使ってほしい!と思っても、薬機法の関係で医薬品は優待では送れないんですよ。

――そうなんですね。具体的にはどのような商品が該当するのですか?

当社の主力商品であるアースレッドは個人的にも一押しの商品なので、ぜひ株主様にお使いいただきたいのですが、医薬品に該当するため、優待では送れません。

また、灯油やガスボンベなどの発火性、引火性、揮発性のある品物やスプレー缶は宅配便では送れないんです。ですから、アースノーマットやゴキジェットプロなどの当社のロングセラー商品は現在送ることができません。

このあたりは、薬機法に詳しい部署などにも確認しながら進めています。

その代わり、玄関先やベランダなどに吊るすタイプの虫ケア用品などを入れるようにしています。こちらの吊るすタイプの虫ケア用品は火を使いませんし、デザインもシックで大変好評です。我が家でも使っていますが、玄関先に吊るしておくと、嫌な虫が入ってこなくなりました。

――いろいろな制約の中で商品を選んでいらっしゃるのですね。ゴキジェットプロが優待に入っていないと思っていた株主の方は、この記事を読んでいただいて納得したかもしれませんね。

それにしても、ゴキジェットプロやごきぶりホイホイなど、今でこそ私たちの生活に浸透してきていますが、そもそもこのような画期的な商品を考えついたのは本当にすごいですよね。創業時から虫ケア用品の開発を行なっていたのですか?

では、簡単に当社の創業経緯をお話しさせていただきますね。

当社は1892年に木村秀蔵が大阪の難波で創業しました。最初は、家庭薬を製造し、「地球印」というブランド名をつけて販売していました。1910年には兵庫県の赤穂市に工場を建設し、1916年に炭酸マグネシウムの国産化に成功しました。炭酸マグネシウムはゴムの増強剤など工業用に使用されることが多い原料です。

より一般消費者の方の身近な分野で役立つものの研究開発を進め、1929年に家庭用の噴霧式の殺虫剤「アース」を発売しました。この「アース」から名を取る恰好で、現在の社名に変更しています。

しかしこれ以降、ヒット商品がなかなか生まれず、苦しい時期が続き経営難にも陥りました。自力での復活をあきらめ、1970年に大塚グループの資本参加を受けました。これが大きな転換期となり、今では多くの方々に知っていただいている、ごきぶりホイホイやアースレッドなどの商品開発に次々と成功し、当時は、画期的な商品ということで、大ヒットしました。それにより当社の業績も大幅に回復し、今に至っています。

なので、創業当時から殺虫剤を製造・販売していたというわけではないんです。

――創業当時から殺虫剤を製造していたわけではなく、研究過程で生み出された商品なんですね。

はい。社名の「アース」には、外国製品に負けない国産品を「世界」に広めるという思いが込められておりまして、当時から「地球」や「アース」といった名前を製品・社名に掲げ、世界を見据えた事業活動を行っています。その世界中の人のお役に立つ商品を作りたいという想いが多くの大ヒット商品を生み出すに至ったのだと思います。

――なるほど!御社の社名のアースは、「地球」だったんですね!これからも世界中の人に役立つ素晴らしい商品開発に期待しています!それでは最後に株主の方にメッセージをお願いします。

当社では、年2回株主優待を実施していますが、これまでお話しさせていただいたように、当社のグループ会社の商品も含めて、さまざまな商品を送らせていただいております。優待品を使っていただくことで、優待を通じて、皆様の快適な暮らしの実現のお手伝いができればとても嬉しいです。

今後も皆様のお役に立つ商品を世界中に広めていきたいという創業者の想いを引き継ぎ、皆様の豊かで快適な生活を実現できるように、社員一同力を合わせて事業に取り組んでいきます。

株主様=当社の最大の応援者です。引き続きご指導、応援、どうぞよろしくお願いします!

――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。

【株主優待のプロフィール(データは2022年6月30日時点)】

100株以上保有の株主様に自社製品の詰め合わせセット(年2回贈呈)。

基準日を6月30日とするもの (贈呈時期:9月予定)

基準日を12月31日とするもの (贈呈時期:翌年3月予定)

●優待商品例:製品詰め合わせセット(3,000円相当)


優待内容は、 2021年度。

・年間予想配当金:118円(予定)
・最低投資金額:520,000円(100株単位)
・優待に必要な投資金額:520,000円(100株より)
※データは2022年6月30日時点

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