投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2022年6月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「流入超が継続」

資金流出入は約6,300億円の資金流入超となり、前月(約5,840億円の流入超)から増加し、19ヵ月連続の流入超を維持した。

資産別の資金流入では、外国株式が約3,370億円の流入超で、前月(約4,770億円)から約1,400億円減少した一方、国内株式、複合資産、不動産投信の流入額は前月対比で増加した。このほか、国内債券が約320億円の流入超(前月は約90億円の流出超)、外国債券が約430億円の流入超(前月は約220億円の流出超)と、2ヵ月ぶりに資金流入超となった。

資産別の資金流出では、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券の流出額が前月対比で減少した。

個別ファンドでは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約580億円)が資金流入で1位となった。2位は「GSグローバル社債ターゲット2022−06(限定追加型)」(GS)(約350億円)、3位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際)(約340億円)と続いた。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「エマージング株式、外国債券、エマージング債券でプラス」

6月の金融市場は、月前半は世界的なインフレ圧力の高まりを背景に各国当局が金融引き締め強化に舵を切る中、金利上昇(債券価格は下落)とともに株価は下落したが、月後半に米景気後退への懸念から金利上昇が一服すると、株価は反転する場面も見られた。

株式市場は、先進国を中心に下落した。5月の米消費者物価指数の伸び率が市場予想を上回り、FRBが約27年ぶりとなる0.75%幅の大幅利上げに踏み切ると米長期金利は上昇し、株価は下落した。また欧州株も、ロシア産天然ガス供給減少やECBによる金融政策引き締め強化による景気減速への懸念から大幅に下落した。一方、中国株は中国政府による景気刺激策やロックダウン解除による景気回復への期待から上昇した。

債券市場は、横ばいから金利上昇(債券価格は下落)で推移した。米10年国債利回りは、上旬は米物価指標の伸びやFRBによる大幅利上げを織り込む形で一時3.4%台まで急上昇したが、中旬以降は期待インフレ率の低下や金融引き締め加速化による景気後退への警戒感から金利上昇が一服した。また、独10年国債利回りはECBが7月の0.25%利上げ実施と9月以降の利上げペース加速化余地を示唆したことから大幅に上昇した。日本10年国債利回りは前月比やや低下も、概ねレンジ圏での推移となった。

為替市場は、円安が進行した。金融引き締め強化を進める米国や欧州に対し、日本は大規模緩和を維持し、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安が進行した。

これらを背景に、当月のリターンは、エマージング株式、外国債券、エマージング債券でプラスとなった。エマージング株式は、中国での経済活動の制限緩和による景気回復への期待感を背景に、中国株が堅調に推移したことなどが寄与した。また、外国債券やエマージング債券は、ロシアルーブル高やトルコリラ高が評価額上昇に寄与した。一方、先進国を中心とした株価下落に押され、前月プラスであった国内株式はマイナスに転じた。

なお、ロシア関連ファンドの一部(通貨選択型ファンドのロシアルーブルコース等)では売買が再開されているものの、株式ファンドや債券ファンドでは売買停止措置が継続している点には引続き留意されたい。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数、設定額ともに増加」

当月の新規設定本数は13本、設定額は約690億円となった。前月対比で設定本数は7本増加、設定額は約670億円増加した。

新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「GSグローバル社債ターゲット2022−06(限定追加型)」(GS)であった。当ファンドは日本を含む世界各国の米ドル建ておよびユーロ建ての債券(ハイ・イールド債券を含む)のうち、原則としてファンド償還日前に満期を迎える債券に投資し、満期まで保有する持ち切り運用を行う。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、6月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)