iDeCoの始め方は、加入可能か確認、金融機関の決定、掛金や商品を決定、加入申込の4段階で理解できます。申込後に変更があった場合も、一定の条件下で手続きが可能です。

本記事では、iDeCoの始め方や運用中の変更方法について詳しく解説します。

始め方1 iDeCoに加入できることを確認

2017年1月より、iDeCoに加入できる範囲が拡大しました。ただし、誰もが対象なわけではないため、まず自分が加入できることを確認しましょう。

自分が加入可能か判断がつきにくい場合は、iDeCo公式サイトの「カンタン加入診断」も活用してみてください。

参考:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)をはじめるまでの5つのステップ」
*カンタン加入診断は、上記サイト内「【ステップ1】まずはカンタン加入診断」のボタンをクリック

ここでは、iDeCoの加入範囲についてより深く解説します。

パートや派遣社員も加入できる

iDeCoに加入できる範囲が拡大したことで、第3号被保険者や企業年金加入者、公務員など共済年金加入者も対象となりました。つまり、パート・専業主婦(夫)や派遣社員もiDeCoに加入可能です。

ただし、収入が一定額を下回り所得税や住民税を払っていない場合、iDeCo加入のメリットのひとつである所得控除の恩恵を受けることはできません。本人の代わりに夫(妻)の所得から掛金分を控除することもできない点も理解しておきましょう。

詳しくは、専業主婦(夫)とiDeCoの関係について解説した以下の記事を参考にしてください。

「iDeCo加入で専業主婦(夫)にも恩恵がある!注意点も解説」

会社員は勤務先の企業型DC規約などに注意する

2022年6月時点では、勤務先で企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入している会社員がiDeCoに加入するためには、企業型確定拠出年金規約の内容を変更しなければならないなどの条件があります。また、マッチング拠出を実施している企業の従業員も加入できません。

2022年10月1日から企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入要件が緩和され、企業型確定拠出年金規約による制限はなくなりますが、加入者がマッチング拠出を利用していないことがiDeCo加入可能の条件です。

会社員がiDeCoに加入できないケースや、加入するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

「iDeCoに会社員でも加入可能?そのほかの疑問にも回答します」

始め方2 金融機関を決定する

続いて、iDeCoの運営管理機関をどこにするかを選びます。運用管理機関となっているのは、主に銀行・証券会社・保険会社です。

iDeCoに加入すると、毎月管理手数料がかかります。各機関によって手数料水準が異なるため、どの会社でiDeCoに加入するか迷っている場合は、手数料を比較してみましょう。

そのほか、サービスの充実度、商品ラインナップなどから選ぶことも大切です。

始め方3 掛金や運用したい商品を検討する

iDeCoの運営管理機関によって、取り扱う商品が異なります。自分が申し込みを検討している機関でどのような商品を取り扱っているかは、iDeCo公式サイトの「運営管理機関一覧」で確認可能です。

参考:iDeCo公式サイト「運営管理機関一覧」

また、加入者によって掛金上限が異なります。ここでは、加入する際に掛金や運用商品についてどのように考えればよいか解説していきます。

掛金上限は職業や企業年金の加入状況によって異なる

iDeCoは、加入者の職業(国民年金の種類)や企業年金の加入状況などによって、掛金の上限が異なります。例えば、自営業者など国民年金の第1号被保険者の掛金上限は月額6.8万円であるのに対し、第3号被保険者に該当する専業主婦(夫)は月額2.3万円が上限です。

公務員や確定給付企業年金に加入している会社員はさらに低く、いずれも月額1.2万円が掛金上限とされています。(2022年6月現在)

iDeCoにはさまざまな運用商品がある

iDeCoでは、各運営管理機関が取り扱う3〜35種類(2023年4月末までは35種類を超える可能性あり)から自分で運用商品を選択しなければなりません。商品は、その特徴によって元本確保商品と投資信託の2種類に分けられます。

定期預金や保険商品に代表される元本確保商品は、リスクが小さい分期待されるリターンも小さいです。一方、投資信託は元本確保商品と比べてリスクもリターンも高く、運用成績次第では元本を上回る場合と、元本を割る場合の両方の可能性があります。

また、投資信託は一般的にリスク・リターンが低い順から国内債券型・外国債券型・国内株式型・外国株式型に分類可能です。リスク・リターンを意識しつつ、自分にあった商品を選ぶようにしましょう。

始め方4 iDeCoに申し込む

iDeCoに加入するためには、iDeCo公式サイトの「運営管理機関一覧」に掲載されている金融機関の運営管理機関を通じて、加入申出書を国民年金基金連合会に提出しなければなりません。指定できる運営管理機関は1団体のみです。

ここから、iDeCo申し込み時に必要な書類や、具体的な手続き方法について確認していきましょう。

申込時に必要な書類

iDeCo申し込み時に必要な書類は、主に以下の通りです。

●個人型年金加入申出書(iDeCoの申込書)
●勤め先の事業主に記入してもらった証明書(公務員や会社員の場合)
●運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等の本人確認書類
●引き落とし口座番号がわかる通帳やキャッシュカード(毎月掛金を口座振替する場合)
●年金手帳など基礎年金番号がわかるもの
●銀行届出印

なお、個人型年金加入申出書や事業主に記入してもらう証明書の書式は、各金融機関で取得できます。

手続き方法

個人型年金加入申出書に必要書類を添付し、金融機関窓口に提出します。金融機関によっては、オンライン上での申し込みも可能です。

申し込みした後に、記録関連運営管理機関から「口座開設のお知らせ」、国民年金基金連合会から「加入資格確認結果通知」が届いたら、以降毎月26日に指定口座から掛金が引き落とされるようになります。(任意の月にまとめて引き落としも可能。)

申込後に変更事項がある場合どうする?

あらかじめ定められた範囲内であれば、iDeCoの掛金額や金融商品の種類を自分で決められます。しかし、加入してから変更したいと考えるケースもあるでしょう。

金融商品の種類や配分を変更したい場合、掛金額を変更したい場合、そのほかに変更があった場合の3パターンに分けて、申し込み後に変更事項が出てきた場合にどうするか解説していきます。

1.金融商品の種類や配分を変更したい場合

iDeCoの運用開始後に金融商品を変えたいと考えた場合、「配分変更」や「スイッチング」という方法でいつでも変更できます。「配分変更」がこれから積み立てる商品の種類や掛金の配分を変更するものであるのに対し、「スイッチング」はすでに積み立てた残高における種類や配分を変更するものです。つまり、保有している金融商品を売却して現金化し、その資金で別の商品を買うということです。

商品によっては売却時に信託財産留保額、購入時に販売手数料といったコストがかかることがあるため、スイッチングを選択する場合は注意しましょう。

なお、配分変更やスイッチングの申し込み方法については、各運営機関に確認してください。

2.掛金額を変更したい場合

掛金額を変更できるのは一年に一回だけです。変更にあたり、運営管理機関に「加入者掛金額変更届」を提出しなければなりません。

変更届の書式は、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者でそれぞれ異なります。iDeCo公式サイトの「加入者の方へ」に書式の見本があるため、気になる方は確認しておきましょう。

3.そのほかに変更があった場合

そのほか、加入者が転職や退職することで加入資格の変更があった際にも、運営管理機関への届出が必要です。例えば、会社員や公務員が退職して個人事業主になった際には加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)、会社員が転職した際には加入者登録事業所変更届を提出します。

また、転職先で企業型確定拠出年金に加入し、企業型年金規約でiDeCoとの同時加入が認められていない場合、加入者資格喪失届の提出が必要です。

参考:日本証券業協会「今さら聞けない!投資Q&A」

iDeCoの始め方は難しくない

2017年1月よりiDeCoに加入できる対象者の範囲が拡大し、2022年10月1日からは企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入要件も緩和される予定です。今後、さらに多くの人がiDeCoに加入できるようになるでしょう。

iDeCoに加入できることを確認する、金融機関を決定する、掛金や運用したい商品を検討する、iDeCoに申し込むの4ステップで考えれば、iDeCoの始め方は難しくありません。掛金の所得税控除などのメリットが期待できるiDeCoへの加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)

監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。