3月期決算企業が6月の定時株主総会シーズンを終えて、足元では議決権行使結果の開示が行われています。その開示内容を見てみると、今年の株主総会にはいくつかの注目すべきポイントがありました。

◆株主総会 3つの注目ポイント

まず1点目は、多くの株主提案が行われていたことです。提案社数は過去最多と報じられており、提案内容も多岐にわたっています。

昨年の株主提案社数は、前の年に比べて減少していましたが、今年は再び増加した格好です。資本効率の改善に向けた自己株取得や剰余金処分(増配)を求めるもの、気候変動対応に関する情報開示を求めるもの、政策保有株式の縮減や相談役・顧問の廃止などガバナンス対応を求める株主提案などが見られました。こうした株主提案には一定の賛成票が集まる結果となっています。特に、役員報酬の個別開示を求める提案は高く支持された模様です。

2点目は、会社提案の「事前導入型」の買収防衛策について、賛成率は低い結果となりました。これは、買収決定後に株主総会の承認を求める「有事型」の買収防衛策の導入事例が増えてきており、「事前導入型」の買収防衛策には慎重な判断が示されたものと思われます。過去に導入された買収防衛策は一定期間毎に継続の可否を株主総会で問う必要がありますが、今後の更新は難しくなるかも知れません。

3点目は、役員選任議案においても賛成率が低い事例が見られました。企業不祥事が発生したことや、コロナ禍において業績低迷が続いているといったことが含まれているようです。

また、業績には問題がないにも関わらず反対票が投じられたケースとしては、ロシア事業への対応に一因があるものが含まれています。米イェール大学経営大学院の研究チームは、ロシアに拠点を有する企業1,200社以上に対して、ロシア事業の撤退・継続判断の状況に関する調査報告を行いました。米国の議決権行使助言会社は、この調査結果に基づき事業継続のリスク評価を開示していない企業の経営トップに対して、反対推奨を行ったものもあるようです。

また、一部の企業では、株主総会開催の直前に予定していた議案を取り下げた事例がありました。ここには、十分な賛成票の獲得が見込めないと企業自らが判断したと推察されます。

◆企業と投資家の「建設的な対話」が進展

このような株主総会の動きの背景としては、コーポレートガバナンス・コード(CGC)やスチュワードシップ・コード(SSC)といった2つのコード(ダブルコード)が浸透していると考えられそうです。

CGCは企業の政策保有株式の持ち合い解消の動きを進め、特定株主の存在を前提としていた総会運営は過去のものとなりつつあるのかも知れません。また、SSCは機関投資家に議決権の行使結果の開示を迫り、これまで以上に議決権行使の判断のプロセスの上で企業価値向上に資するかどうかを考慮するようになっています。

これらは安倍政権のもとで資本市場改革の取り組みとして導入され、改訂を経てより高度化が求められるようになっています。これらダブルコードは、企業と投資家がともに取り組みの背景にある考え方を説明するプロセスが重視されています。こうした「建設的な対話」を通じて、当初慎重な見方を示していた企業が、理解浸透とともに取り組みが加速するケースも見られます。

株主提案の増加や賛成率の低下といった今年の株主総会における議決権行使の結果は、ダブルコードの浸透度を示すものと言えるでしょう。行使結果を踏まえて、再び企業と投資家による「建設的な対話」が進むことになると考えられます。

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