投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2022年8月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「流入超が継続」

資金流出入は約3,280億円の資金流入超となり、前月(約2,480億円の流入超)から増加し、21ヵ月連続で流入超を維持した。

資産別の資金流入では、外国株式(約2,070億円)、その他資産(約860億円)、複合資産(約600億円)の順で流入超となった。外国株式は依然トップを占めるものの、流入額は3ヵ月連続で減少した。その他資産には転換社債(以下、CB)ファンドなどが含まれ、8月新規設定されたCBファンドを中心に資金が流入した。

資産別の資金流出では、国内株式(約520億円)、エマージング株式(約110億円)、エマージング債券(約90億円)の順で流出超となった。

個別ファンドでは、当月新規設定の「JPMグローバル高利回りCBファンド(ヘッジあり)2022−08」(JPモルガン)(約660億円)が資金流入で1位となった。2位はeMAXIS Slim米国株式P500500)」(三菱UFJ国際)(約500億円)、3位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際)(約340億円)と続いた。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「REIT、国内債券以外の資産クラスでプラス」

8月の金融市場は、世界的な高インフレや金融引き締め策、景気後退観測に対する市場の思惑によって高安まちまちの展開となった。

株式市場は、先進国中心に概ね下落した。米国株は、7月米消費者物価指数が事前予想を下回ると、FRB大幅利上げ観測の後退により上昇したが、下旬に開催されたジャクソンホール会議にて、FRB議長が景気よりもインフレ抑制を優先する姿勢を強調すると下落に転じた。一方、日本株は一時年初来高値に迫る上昇を見せたが米国株の流れを受けて軟化し、前月比小幅高で終えた。新興国株は、インフレ率の鈍化が見られたブラジルやインドなどの株価上昇が寄与し、概ね堅調に推移した。

債券市場は、金利が上昇(債券価格は下落)した。米10年国債利回りは、上旬は米中関係悪化を警戒した国債買いも見られたが、中旬以降にFRB高官らが金融引き締め継続の姿勢を明示すると大きく上昇した。独10年国債利回りについても、高インフレ懸念や天然ガス供給不安からECBによる大幅利上げ観測が強まり上昇した。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安が進行した。米ドル・円は、FRB高官らのタカ派発言を受けた米金利上昇に伴い、139円台近くまで上昇した。ユーロドルは米ドル高や欧州景気減速への懸念から再び等価割れとなる局面もあったが、ユーロ・円は日欧金利差が意識され前月比上昇した。

これらを背景に、当月のリターンは、REIT、国内債券を除く資産クラスでプラスとなった。パフォーマンス上位資産には、エマージング債券やエマージング株式がランクインした。金融緩和を継続するトルコやインフレピークアウトが見られたブラジルなどの債券価格および株価の上昇に加え、円安の進行も追い風となった。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数は減少、設定額は増加」

当月の新規設定本数は13本、設定額は約580億円となった。前月対比で設定本数は10本減少した一方、設定額は約320億円増加した。

新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「JPMグローバル高利回りCBファンド(ヘッジあり)2022−08」(JPモルガン)であった。当ファンドは先進国のCBを主要投資対象とし、特に信用リスク対比で相対的に最終利回りが高いと判断される銘柄を中心に投資することで、株価上昇が限定的な場合でも収益の見込めるポートフォリオ構築を目指すファンドである。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、8月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)