経済産業省は、8月に「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」と「価値協創ガイダンス2.0」を発表しました。これは、昨年5月に立ち上げたSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)研究会での議論の内容と、同年11月からの価値協創ガイダンス改定の成果をまとめたものです。

これらが策定された背景には、「伊藤レポート1.0(2014)」以来指摘してきた「稼ぐ力」や企業価値向上への取り組みにはもはや一刻の猶予もない状況が挙げられます。加えて、社会のサステナビリティ課題への対応が企業の経営戦略の根幹となり、長期的・持続的な企業価値の向上を目指すうえで重要性を増していることがあります。

※社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化させること、及びそれに必要な経営・事業変革

◆「稼ぎ方」の本流はサステナビリティ課題への対応に

「伊藤レポート1.0(2014)」では、資産コストを上回るROE(自己資本利益率)の達成が必要であると説きました。「伊藤レポート2.0(2017)」は、競争力の源泉が「有形資産(工場・機械設備)」から「無形資産(研究開発・知財・のれん)」へとシフトしており、「無形資産」構築のための投資の重要性を説いています。今回の「伊藤レポート3.0」は、SXの実践が、単に企業のリスクへの対処であることを超え、「稼ぎ方」の本流になることを説いています。社会のサステナビリティを踏まえて企業の目指す姿を明確化し、長期価値創造を実現するための戦略の構築と、戦略推進のためのKPI(重要業績評価指標)の設定やガバナンスの確立を求めています。

「価値協創ガイダンス1.0(2017)」は、企業と投資家の対話を通じた価値創造ストーリーの構築と、質の高い情報開示の在り方、対話の推進を狙い策定されました。今回の「価値協創ガイダンス2.0」は、SXを経営戦略や対話に落とし込む実践的な枠組みになります。企業経営者には自らの経営理念やビジネスモデル、戦略やガバナンスを価値創造ストーリーとして伝えるための手引きに、そして運用機関などには中長期的視点からの企業の評価、投資判断やスチュワードシップ活動に役立てるための手引きとなります。また、投資家との対話のための共通言語として活用することも期待されています。

日本の上場企業の約4割はPBR(株価純資産倍率)1倍を下回っている状況です。これは企業が事業環境変化に対応しきれなかったことによる収益性の低下などに対し、株式市場から厳しい評価が続いていることを意味しています。企業価値向上におけるSXの実践例では、英国石油会社のBPが挙げられます。同社は、2050年までの温室効果ガスネットゼロ達成を目指し、石油・ガスの生産量の削減と、再生可能エネルギーの発電容量の増強、低炭素水素市場の開拓による「総合エネルギー企業への転換」を長期戦略として公表し、評価を得ています。

サステナビリティ課題には気候変動以外にも人権、サイバーセキュリティ、パンデミックや経済安全保障等が挙げられています。これらの課題に対する価値創造ストーリーの構築と戦略の情報開示を通じた企業との対話の促進が「伊藤レポート3.0」に込められているものと考えられます。

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