在宅勤務(テレワーク)のメリットは少なくない。通勤時間がなくなる、集中して効率的に作業できる、人との接触機会が減ることで感染拡大リスクも減る、介護や子育てと並行しながら仕事ができる――。しかし、在宅勤務がもたらしたものはメリットばかりではない。オフィスからオンラインに舞台を移した「セクハラ」問題も浮上し、SNS上では “リモートセクハラ” という言葉も登場。新たなスタイルで広がりつつあるセクハラの実態に迫った。

 30代女性会社員・Aさんは慣れないオンライン会議のため、当初はPCセッティングや部屋の整備などで余裕がなかったが、次第に一部の男性社員の発言に疑問を感じるようになった。

「しばらくは、コミュニケーションの一種と思っていましたが……。『部屋をもっと見せてよー』『在宅で少し太ったんじゃない?』『今日、すっぴんなの?』という発言は、それを逸脱している気がしてなりません。これはもうセクハラですよね。不快です」(Aさん)

 いま、そんなセクハラが職場ではなくオンライン上で起きている。20代女性会社員・Bさんもその被害者の一人。実態はこうだ。

 グループでのオンライン会議後に困惑することがあった。男性社員が「〇〇の件で、別途個別で話したい」と、わざわざ1対1のオンライン会議を要求してきたのだ。職場でも仕事について2人で話す機会があったことから、特に疑問も抱かずに受け入れた。

「開口一番、『自宅同士でつながるのって、新鮮だなー』と言われ、仕事のことはそこそこに、プライベートのことに話題が及びました。『家での服装はいつもより派手だけど、そういう趣味なの?』『立ってみてよ。全身が見てみたいな』『今度、他の格好も見てみたい。パジャマなんかもいいな』『飲み会ないからさ、ウェブで今度一緒に飲もうよ』などと言われ、困惑。職場ではそういうアプローチをする人ではなかったので、びっくりしました。何か勘違いしている気が……。いつもより慣れ慣れしいし、呆れてしまいました」(Bさん)

 対面でのセクハラとは違い、オンラインでは相手の表情がはっきりとはわからないし、周囲に目撃される可能性がない。それだけに、対面では見せられない思い切った言動に出る男性もいるようだ。Bさんが続ける。

「せっかく通勤から解放されて、痴漢の恐怖や職場でのセクハラリスクから逃れられたのに、自宅にいてもこれでは……。正直、不快な発言のシャットアウトや通報できる仕組みがあればいいとも思いますが、このままエスカレートするようであれば、録音か録画をして証拠をつきつけてやろうと思います」(Bさん)

 20代女性会社員・Cさんは、在宅勤務と出勤を交代制でこなす会社に勤務する。在宅勤務時は自分に向けられたパソコンのカメラ映像をつけっぱなしにしなければならず、“監視”に近い状態に辟易としている。

「そこまでする必要があるのか正直、疑問に思います。上司が私に進捗確認するときに、たまたま席を立っているだけで、『何していた?』と聞いてきます。純粋な質問だとしても、いちいち『トイレ』と答えるのも恥ずかしい。私はサボっていると思われないように、頑張っているのに……。在宅勤務がほとほと嫌になりました。憂鬱です」(Cさん)

 なぜ、こうした安易な発言が飛び出すのか。IT企業に勤務する40代男性会社員・Dさんは、その理由をこう分析する。

「在宅のオンライン会議では、パソコンの向こうに私生活が垣間見えるという新鮮さと生々しさがあります。また、対面でないことから、同僚や仕事相手の異性に“何でも”言える気になり、2人だけの参加者だと気軽かつ大胆に発言してしまう人もいるようです。会議は3人以上にする、PCのカメラ画像はオフにする、などといったルール作りも必要だと思います」(Dさん)

 在宅勤務の新たな問題として浮上したリモートセクハラ。オンライン上でもセクハラという事実は変わりなく、許されることではない。