全国225店舗、売上高4410億円と、ホームセンター業界トップを走る「カインズ」。店舗に行けば、その品揃えの豊富さや独自性あふれるオリジナル商品のラインナップなど、人気の理由がよくわかる。そんなカインズには、意外と知られていないが、知ればもっと好きになる5つの秘密があるという。

元競輪選手が20人近く働いている

 カインズ内の「サイクルパーク」(自転車売り場)には豊富な知識を持った専門スタッフが多いという。驚くことに、一部の店舗には元競輪選手が在籍しており、その人数は20人ほど。なかには、かつてオールスター競輪など有名なレースに何度も出場した“レジェンド”が専任社員として働いている店舗もある。その人の体格に合った適正なサドルやハンドルの高さなどのセッティングから正しい整備の仕方まで、まさに「自転車のプロ」から自転車選びのアドバイスを受けられるそうだ。

「となりのカインズさん」という面白サイトがある

 カインズの公式サイトの中には、「となりのカインズさん」という一風変わったページがある。外部のマニアックな専門家や著名人がホームセンターに並ぶ商品について自由に綴る内容で、「カインズのバイト面接に落ちたライターが『節分コスプレ』に挑戦」とかなり尖った企画や、「なぜ猫は『CIAOちゅ〜る(チャオチュール)』にハマるのか?」として発売元に直撃する記事などが満載。SNSでは「公式なのにかなり攻めている」などとバズることがたびたびあるという。

洗濯をいかにラクにするか、いつも考えている社員がいる

 扱う洗濯用品のアイテム数は約400点。そのほとんどがオリジナル商品だ。なかでも目を引くのがさまざまな工夫を凝らしたハンガー。その種類が「ハンパない」と評判だ。パーカなどのフードを広げて干せるものや、肩の部分に穴が開いていて風通しがよく取り外し簡単なものなど、かなり独創的。ハンガー開発を担うバイヤーのM氏は他社の商品も見て回り、自宅では洗濯をして試すほか、家族に使い勝手を聞く“家庭調査”を行なうなど、“四六時中ハンガーのことを考えている人”だそうだ。

グループ会社に「ワークマン」

 カインズは群馬が本拠のスーパー「ベイシア」を母体とするベイシアグループの中核企業。あまり知られていないが、作業服大手で近年カジュアル服で急成長を遂げ“第2のユニクロ”と呼ばれるワークマンも同じグループ会社だ。ベイシア創業者の長男・土屋裕雅氏がカインズ会長、創業者の甥である土屋哲雄氏がワークマン専務であり、グループ全体の総売上高は昨年10月に1兆円を突破。コロナ禍でも好調が続く一大グループとなっている。

「高家さん」には社長室がない

 従業員数1万2000人を超える大企業だが、埼玉県本庄市の本社には社長室がない。広い吹き抜けの本社フロアは部署の間仕切りもなく、高家正行社長の机も社員と一緒に並んでいる。

「社長室や役員フロアなどは旧本社時代からありません。何かあれば社長に報告できる距離感で、物理的にも風通しのよい会社です。従業員は『メンバー』。職位に関係なく、「さん」付けで呼んでいます。なので、全メンバーが社長を『高家さん』と呼んでいるんですよ」(広報部)

 ちなみに社長のデスクは社員よりわずかに大きい程度で、群馬・高崎のだるまが背後に飾られている。

取材・文/入江一 画像/カインズ提供

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号