人生を締めくくる最後の準備といえるのが「墓」だ。最近は生前に“墓関連グッズ”を購入する人が目立つが、その最大の目的は「相続税対策」である。税理士の関本秀治氏が言う。

「相続税法12条により墓石や仏壇、仏具などは非課税財産とみなされ、生前に購入した分には相続税がかからないとされている。メディアがこぞってそう喧伝するため、定年後すぐ、60代のうちに高価な墓を購入する人も増えています」

 そもそも墓の値段は、墓石代や加工費などの「墓石建立費」、墓地を使用する権利である「永代使用料」に草刈りや共同利用物の修繕などに使う「管理料」などが加わって高止まりしている。都内23区なら300万円以上、他の地域でも200万円以上は下らない高価な品だ。

 とはいえ、相続税対策として早めに墓を買うことは必ずしも得策ではない。

 非課税財産となる条件は、相続開始時点で墓の代金を「完済」していること。高級品ゆえ、ゆとりをもったローン返済を考えて早めに買う人もいるが、あまりに早いと相続開始時までに財産が減り“対策する必要がなかった”ということも。

 さらに墓の購入後には年間の管理費もかかる。東京の公営霊園なら年間で600円程度だが、競争倍率が高く簡単には入れない。残るは民間霊園と寺院霊園の選択となり、前者は年間5000円〜1万5000円、後者は6000円〜2万4000円が相場。生前、寺院霊園に墓を建て、管理費を10年も払えば20万円を超えるケースも出てくる。

 しかも現代は墓に対する意識が変わり、せっかく豪華な墓を購入しても子供らに守ってもらえず、むしろ厄介な“不良債権”となるリスクがある。これでは成仏もおぼつかない。

 意外な落とし穴となるのが高価な仏壇や仏具の購入だ。

「これらは墓と同じく非課税財産のため、所得税対策も兼ねて純金製の高価な品などを購入する方もいるようですが、あまりに度が過ぎると税務署から『これは仏具ではなく金だ』と指摘されることがある。最悪の場合、課税逃れと判断されて追徴課税されることもあります」(関本氏)

 準備を始めるのは総じて早いほうが良いケースが多いが、お墓だけは例外のようだ。

※週刊ポスト2018年2月16・23日号