異例の猛暑が続く夏──終戦記念日を前に靖国神社(東京都千代田区)で参拝をすませた人が、九段会館の前を通り過ぎた。東日本大震災による損壊からの建て替え工事は、「平成34年」に終了する予定だと記されている。

「平成」は31年4月30日に終わりを迎える。事業構想大学院大学准教授で、『「元号」と戦後日本』の著書のある鈴木洋仁氏が話す。

「役所や公的機関の書類は、元号表記が基本です。その影響で、民間事業者も元号表記を採用しているところがあるため、『存在しないはずの平成』の表記が散見されるわけです」

 保存食品の賞味期限を勘違い、といった程度ならまだいいが、もっと深刻な問題も心配されている。

年金加入記録のシステムトラブルは?

 税金や年金、社会保障関連のシステムは、来年5月1日を境に、スムーズに新元号に移行、というわけにはいかないようなのだ。

「新元号は改元の約1か月前に発表の予定とされ、それからではシステム改修が間に合いそうにない。行政と民間の金融機関などがネットワークでつながっているシステムでは、改元後も便宜的に『平成』を使用します。慎重に、段階的に新元号へ移行していく」(全国紙記者)

 社会保険労務士の稲毛由佳氏は懸念を示す。

「年金の書類では、元号を数字で表わします。昭和が5、平成は7です。新元号は9でしょうか。例えば書類作成時、平成の7と新元号の9を取り違えるなどして、年金の加入記録に誤りが生じる懸念があるのです」

 グローバル化が進み、諸外国と同じく西暦ベースにすべき、という意見もある。

「将来、年金のデータを西暦に揃えるとなれば、その移行作業で現場は大混乱するでしょう」(同前)

 約5000万件の「消えた年金」問題で社会保険庁は解体されたが、後を継いだ日本年金機構も今年に入りデータ入力ミスによる過少支給を引き起こしている。

平成の終わりの「免許返納キャンペーン」

 平成表記のまま、多くの人が使い続けるものの1つが運転免許証だ。

「平成で書かれた有効期限は、新元号だと何年になるのか、自分で置き換えないといけない。更新を知らせるハガキは届きますが、気付かずに勘違いしたままの人が出てしまう事態も考えられます」(前出・鈴木氏)

 警察庁は、8月2日に有効期限を西暦表記に変える方針を発表したが、来年3月頃以降に発行されるものに限られる。

 ちなみに、天皇の免許は今年12月23日の85歳の誕生日翌月に有効期限を迎えるが、更新予定はないという。

「最近、高齢者による自動車事故が社会問題になっています。陛下の免許返納を機に、返納を促すキャンペーンにつながっていくのではないか」(警察関係者)

※週刊ポスト2018年8月17・24日号