義理の夫などの親族と縁を切るために、亡き夫との関係を終了する「死後離婚」を選択する人が増えている。はたして、「死後離婚」にはどんな手続きが必要なのだろうか。

 ひと昔前までは、結婚したら妻は夫の家族の一員として家事や育児を担い、義親の世話をするのが当たり前のことで、夫の死後、それを嫌がると“心無い嫁”と責められたりした。それが今、配偶者の血族との縁を切る「姻族関係終了届」を提出する人が増えている理由について、離婚問題に詳しい弁護士の佐藤みのりさんは、こう語る。

「姻族関係終了届は戦後すぐの1946年から存在していましたが、最近は家族の形態も変化し、夫も妻も一個人として自由に生きられるようになったことで、この届にスポットが当たったのだと思います」(佐藤さん)

 具体的な手続きとしては、本籍地または住まいのある市町村役場で用紙を受け取り、必要事項を記入(表参照)し、提出するだけ。拍子抜けするほど簡単だが、不仲な夫の家族と縁を切るという感情的な解放だけでなく、扶養の義務からも解放される法律上のメリットも得られる。

配偶者の亡き後、何年先でも提出できる

 死後離婚経験者で夫婦問題カウンセラーの高原彩規子さんは、一時的な感情で提出すべきではないとアドバイスする。

「姻族関係終了届は、残された配偶者の意思で提出でき、義親の合意は不要。記入事項も少ない上、離婚届のように証人の必要すらありません。提出期限はありませんが、一度提出すると取り消せないので、本当に必要なのかを熟考して」(高原さん)

 佐藤由美さん(仮名・37才)は、がんで余命数か月と宣告された会社の同僚と入籍したが、その1週間後に夫は死去。ともに看病した義母と親戚らから精神的に追い詰められ、一周忌を終えた頃は、姻族関係終了届の提出を考えていた。

「遺産を整理し、夫の自宅も処分しました。その間も修羅場はありましたが、今年のお盆に家に義母を招いて一緒に偲ぶことができ、やや和解モードに。三回忌には苦手だった親戚も態度を軟化させており、皆で夫の思い出を分かち合えました。以前はすぐにでも縁を切りたいと思っていましたが、今はもう提出の必要はないと考えています」

 こう佐藤由美さんは明るく語る。このように、時間が経つことで関係性や気持ちが変化することがあるため、提出前に時間をかけてじっくり考えた方がよい。

※女性セブン2018年12月20日号