直したいと思いながら、なかなか直せないのが字の汚なさ。字が汚い人間が言いがちなセリフが「読めれば良い」だが、現実には字が汚くて「得」をすることはまずない。字が汚いことによって見舞われたトホホな体験談を紹介しよう。

 まずは都内に住む40代の男性Yさんの話から。

「学生時代、英文和訳の添削を英語の教師にお願いしたところ、書き込まれた赤字が読めません。そこで職員室に行き、何と書いたのか聞きに行ったら、『“もっと綺麗な字で書け”と書いたんだ!!』と言われ、『字が汚い人間は何をやってもいい加減なんだ!』と畳み掛けられ、メチャクチャ怒られました。自分だって、読めないような字のクセに……」

 学校関係で汚い字はご法度なようで、他にも苦労した人は少なくないようだ。

「学生時代、答えは合っているハズなのに不正解にされるのはしょっちゅう。世界史などで『ワ』と『ク』と『7』、英語で『n』と『h』、数学で『0』と『6』などがヤバいです」(40代・ライター)

「大学で日本文学部でしたが、卒論は“手書きのみ”でした。卒論担当教授との面談では、内容よりも、『君の字を読むのがいかに大変だったか』を延々と言われました」(40代・教師)

 また、字が汚い人の特徴には、「自分が書いた字が読めない」というのも“あるある”だという。

「『ドラゴンクエスト』の“ふっかつのじゅもん”(*)を何回入れても「じゅもんが ちがいます」と出てしまい、周囲に八つ当たりをし、最後は親にファミコンを捨てられてしまいました」(30代・メーカー)

【*ふっかつのじゅもん(復活の呪文):初期の『ドラゴンクエスト』シリーズで、ゲームの中断・再開用に使われていたパスワード。平仮名で最大52文字まで入力する必要があった】

「まだ携帯電話がなかった時代、仲良くなった女の子から必死に家の電話番号を聞き出したものの、かけてみたら繋がらなかった」(30代・自営業)

 後者については、わざとウソを教えられただけのような気もするが……。さらに、汚い字は人を怒らせることもある。

「上司に提出する書類を、自分では精一杯きれいな字で書いたつもりでしたが、『何だこの殴り書きは? ナメてるのか?』と激高されました」(20代・金融)

「『領収書の字が読めなくて、会社で経費が精算できなかった』と、お客様が激怒。上客を失いそうになった」(40代・飲食店)

「マンションを一括で購入した時、銀行で振込用紙を出したら、窓口の女性に『もっと綺麗な字で書けませんか!!』とブツブツ言われました。結構な額を預金しているんですが……」(40代・編集)

 こういったエピソードはすべて“自業自得”だが、汚い字は周囲にまで迷惑をかけることもある。

「香典袋や祝儀袋は人に書いてもらいます。結婚式場のスタッフに書いてもらったこともあります」(40代・税理士)

「子どもが学校に欠席届を出したところ、『本当に親が書いたのか? お前が自分で書いたんじゃないか?』と、担任から執拗に問い詰められました。学校をサボったのではないかと疑われたようです」(30代・主婦)

「小学生の息子の名札に名前を書いたところ、私の字が汚すぎて、息子が危うくイジメに遭いかけました」(40代・主婦)

 最後に、今回リサーチした中で一番マヌケなエピソードを紹介しよう。

「子どもの誕生日に家族で回転寿司に出かけた時のことです。店には行列ができており、受付の用紙に『オクダ』と書きましたが、いつまで経っても名前が呼ばれません。店員に尋ねると、どうやら『オワダ』に読めたようで、結果的に順番を飛ばされていました。家族全員に『あれは誰でも“オワダ”と読む』と怒られ、子どもはお腹が空いたと騒ぎ、周りの客にもクスクスと笑われ……地獄でした」(40代・金融)

 やはり汚い字は、自分にも周囲にも迷惑をかけ、学校、ビジネス、プライベートのあらゆる場で「損」ばかり。せめてヘタクソでも丁寧に書く努力をしたほうが賢明のようだ。