「先のこと」と思っていても、親の介護は突然やってくる。想定していなかった事態に直面して戸惑っていると、余計な負担を背負い込んだり、親子揃って心身ともに疲れ果ててしまうこともある。

 親にとっても家族にとっても、想像以上に介護は大変な問題だ。しかも、介護はいつまで続くかもわからない。それでも、その制度と手続きを知っておけば、もっと楽に取り組める。

介護を始める“基準”とは

 2019年度の厚生労働省の予算では、社会保障費が過去最高の約34兆円も割り当てられている。だが、いざ「親の介護」に直面したとき、手続きや制度をしっかりと理解していないと、その恩恵を余すことなく受け取ることは難しい。

 介護の問題は、それまでのライフスタイルを一変させてしまうほど大変なものだ。サポートする家族にかかる負担が大きいからこそ、適切な保障を受けることが重要だ。

 図に示したのは親の介護をスタートする上で必要な手続きの流れだ。その第一歩は「要介護認定」の申請だ。介護問題に詳しい淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博氏が解説する。

「親の行動やその世話のために、家族が生活サイクルを変えなければならなくなったり、仕事に支障が出始めたときが介護認定の申請を検討するタイミングです」

 各市区町村の地域包括支援センターには、介護認定を申請するかどうかの基準として、25項目のチェックリストが用意されている。合計点数が10点以上だと、“日常生活に支障がある”として申請を検討すべきとされている。

 要介護認定を受けることができれば、その後は「ケアマネジャー」と一緒に、親の状態に合わせて具体的な「ケアプラン」を立てていく。ほとんどの人にとって介護は未知のもの。だからこそ、“介護の司令塔”的な役割を担うケアマネジャーの経験や能力は大きな助けとなる。

 介護に必要なサービスは、40歳から加入が義務づけられている「介護保険」によって、原則1割の負担で利用できる。ただし、要支援や要介護の区分によって支給限度額は決まっているため、そこからはみ出した分を本人の年金や貯金で賄えない場合、家族が費用負担を迫られることもある。介護保険を賢く使うことは、家族の家計にも大きく影響するのだ。

 そして、自宅での介護が難しい場合には、「介護施設」への入居を検討しなければならない。施設ごとに様々な特色を持つ半面、親に合った施設を選べなければ、逆に家族の負担が増えることも考えられる。

「要介護認定」、「ケアマネジャー」、「介護保険」、「介護施設」。スムーズな親の介護を行なっていく上で重要になる4つのポイントは、しっかり押さえておきたい。

※週刊ポスト2019年3月15日号