1980年以来、40年ぶりとなる大規模な「相続のルールの見直し」が進んでいる。この7月までに、多くの新ルールが施行される。今回の法改正のポイントは、「妻が有利になる」ということだ。たとえば、夫の死後も妻が自宅に住み続けられるようになったり、夫の両親(義父母)の介護をした妻に遺産分割の権利が発生したりするようになる。

 長年、義父の介護をしてきた埼玉県在住・48才の主婦、川崎さん(仮名)。愚痴もこぼさず、毎日、献身的に世話をしてきた。

「家族は誰も私に感謝などしません。嫁いだ時から『やって当たり前』で、私もそう思って今までやってきました。でも、先日義父が亡くなって、家族の誰よりも自分の時間を犠牲にしてきた私が、遺産を1円も受け取れないのはひどいんじゃないか、と思ったんです」

 相続コーディネーターの曽根恵子さんが解説する。

「義理の親にどれだけ尽くしても、『嫁(子の配偶者)』は相続人にはならず、遺産相続時は法律上、蚊帳の外です。そこで、相続権のない嫁も介護への貢献度で“対価”を請求できるようになりました。これが『特別寄与料』です」

 川崎さんの場合、相続人である夫と義妹が相続した遺産から均等に差し引かれて、川崎さん本人に支払われるようになる。

「現時点では特別寄与料の算定方法は決まっていませんが、介護にかけた時間と都道府県が定めた最低賃金で計算されたり、ヘルパーを雇った場合の金額などが考慮されると考えられます。過去には『時給850円換算』で計算した例もありました。大体、100万〜200万円程度は請求できるのではないでしょうか」(曽根さん)

 ただし、相続人に知らせずひっそりと介護を続け、義父母の死後に「介護していた」と主張するのは得策ではない。相続人にとっては自分たちが相続する財産が減ることになり、トラブルの原因になることは必至だ。

「特別寄与料の請求の証拠となるよう、日頃から介護日誌をつけておくなど、記録を残しておきましょう。今日は何時からどんな介護をし、何を買ったのかや、買い物や通院の際のタクシー代のレシートなども必ず保管しておいて。また、介護の状況を相続人と情報共有することも大切。スマホで動画や写真を撮って、定期的に報告したり、役割分担するといいでしょう」(曽根さん)

 そうした記録や情報共有がないと、相続人に「本当に介護したのか」「カネ目当てだろう」などと言いがかりをつけられかねないので要注意。

※女性セブン2019年5月9・16日号