深刻な人手不足を受け、小売や外食産業で「自動会計レジ」(セルフレジ)の導入が進んでいる。事業者にとっては、肥大化する人件費の削減や混雑の緩和をはかる狙いもあるが、ジャストシステムの調査によれば、セルフレジを利用したことがあるという人は約6割。4割が未利用だが、今後どんどん普及していくと考えている人は半数近くにのぼっている。セルフレジを前向きに利用する消費者、抵抗感のある消費者それぞれの声を聞いた。

店員との会話は“時間の無駄”?

 40代の男性会社員・Aさんは、出勤時に会社近くのコンビニで朝食を購入するのを日課としているが、9時前後の出勤ラッシュ時にはレジ前に長蛇の列ができる。そんななか、Aさんはもっぱらセルフレジを利用。自身で会計後、ビニール袋や割り箸、スプーンは客自身が必要なものを持ち帰る。

「導入された当初はみんな様子見といった感じでしたが、少しずつセルフレジを利用する人が増えている実感はあります。今ではセルフレジで決済する人のほうが多くなり、店員さんが『レジの方が空いてまーす』と声を張り上げているほどです」(Aさん)

 あえて無人のレジを選ぶのは何故なのか。Aさんは、接客スピードを理由にあげる。

「コンビニのレジで一番時間がかかるのが、接客する店員との会話だと思っています。『ポイントカードはお持ちですか?』『箸やフォークはいりますか? 何本お付けしますか?』『ストローはいりますか?』『袋は別でお入れしますか?』『あたためますか?』などといった質問も多いし、最近では支払い前に決済手段を伝える必要もある。店員さんもマニュアルに沿った対応をしないといけないので仕方ないのでしょうが、出勤前のサラリーマンからするとなるべく時間をかけずに会計を済ませたい」

 20代の女子大学生・Bさんは、あるファストファッションブランドのセルフレジを利用する。同社の商品には、ICタグが埋め込まれており、セルフレジ下にある専用ボックスに入れることで、自動で料金計算がされる。決済後、客が自ら梱包するという仕組みだ。それに慣れると、他のファストファッションのレジがもどかしく感じるようになったという。

「やたらとアプリ会員証の有無を聞いてきたり、とにかく服を丁寧にたたんでくれる。ありがたい思う反面、そもそもファストファッションにはそこまでのサービスを求めていないのにな、と思うことも」(Bさん)

使ったことがない人は「間違えるのが怖い」

 セルフレジが普及する一方で、利用に抵抗感を感じている人も存在する。50代の主婦・Cさんは、セルフレジの普及自体には理解を示すものの、自身の利用には慎重だ。まだまだ不安が多いと語る。

「スーパーではまとめ買いをするので、どうしても一度に買う量が多くなってしまいます。一人でセルフレジを使うと、どうしても時間と手間がかかりそうだし、操作を間違えると後ろの人にも迷惑がかかってしまいそう。手際もよくて、レジの操作になれた店員さんにやってもらった方が安心感があるので、まだまだセルフレジはハードルが高いです」(Cさん)

 若年層を中心に愛好者が増えている一方で、抵抗感を持つ年配者は少なくないだろう。今後の普及にあたっては、そういった層の不安を払拭する試みも重要になりそうだ。