7月1日からの相続ルール改正により、義父母の介護をしていた妻も「特別寄与料」を受け取れるようになった。新制度以前は、介護で泣き寝入りしていた妻たちの状況は大きく変わろうとしている。ただし、新ルールにはリスクもあるようだ。

 相続・終活コンサルタントの明石久美さんは、「特別寄与料を主張したために、家族関係が壊れて“争続”に発展する危険性もはらんでいる」と指摘する。

「そうならないようにするには、義父母が存命中に準備をするのが理想的です。“介護してくれた嫁に遺産を贈与する”という遺言書を作成してもらったり、死後、保険金を受け取れるよう生命保険の受取人に指定してもらう、生前贈与をしてもらうなどの方法があります」(明石さん)

 特別寄与料として受け取った分は、相続税の課税対象になる。相続税には、相続人以外が遺産を受け取ると、2割加算されるという決まりがあるので、生前贈与の方が税負担が軽く済む場合もあるという。「円満相続税理士法人」統括代表社員で税理士の橘慶太さんが語る。

「生前贈与をする場合、非課税の範囲となる年間110万円以下の暦年贈与が理想的です。ですが、認知症が進むなど体調の変化によって贈与を続けられなくなる可能性もあります。500万円以下の贈与なら税負担も約10%で済むので、その範囲内で生前贈与をしてもらうのがよいでしょう」(橘さん)

 特別寄与料の請求は、まだ始まったばかりの制度だ。専門家の間でも、どこまでが特別の寄与として認められるのか手探りの状態だという。

「そのため、イメージ通りの金額が受け取れる保証はないと考え、義父母の存命中から親族との関係をよくしておくに越したことはありません」(明石さん)

 介護について親族間で話し合ったり、「私が介護するので、その分の寄与は認めてほしい」と事前に約束しておくことも重要になってくる。

 義父母が亡くなってからではもう遅い。“争続”にならずに介護の労力を認めてもらうには、ぬかりない準備と日頃からのコミュニケーションが必須なのだ。

※女性セブン2019年7月18日号