高齢化が進む日本において、特に大きな心配事となっているのが「実家に住む老親」の問題だ。

 普段は離れて暮らしている家族が一堂に会するお盆の帰省は、親子の今後についてじっくり考え、話し合う絶好の機会だ。「うちの親はまだ大丈夫」「まだ子供に相談するタイミングではない」と準備を怠っていると、いざというときに途方に暮れる事態を招きかねない。

 しかし、「お金」に関する質問は、根掘り葉掘り聞き出そうとすると親から不審がられてしまう可能性がある。

 それでも共有しておきたいのは「銀行口座」に関する情報だ。相続に詳しいファイナンシャルプランナーの平井寛氏がいう。

「親が認知症になるなど万が一のことがあれば、子供が親の銀行口座を把握するのも、そこから出金するのも非常に難しくなる。そのため親が元気なうちから口座・暗証番号などを把握しておくのが理想です。

 ただし無理に聞き出すのは避け、“急病で当座のお金を振り込まなければいけないときはどうすればいい?”などと体調を気遣う流れの中で聞き出したい。一度の帰省だけではなく、電話連絡や次回の帰省も含め、長期戦で臨みましょう」

 親の資産の確認で最も注意すべきは借金だ。多額の借金があり“負の相続”となる場合、親の死後3か月以内に手続きすれば相続放棄ができる。しかし葬儀などで慌ただしいなか、親の財産を速やかに把握するのは至難の業だ。

 また、帰省中に「自宅の不動産登記」などを取得しておくのも手だ。

「不動産の所在や名義人を確認しておくことは何より重要です。もし名義が親ではなくすでに亡くなっている祖父名義だったり、共有名義だった場合には相続の手続きが煩雑になってしまう」(同前)

 相続トラブルを避けるため、親が遺言書を準備している場合もある。遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があるが、自筆証書遺言には注意が必要だ。

「公正証書遺言は公証役場で保管されるが、自筆証書遺言は家で保管されている場合が多い。保管した場所が家族に伝わらず、せっかく作成しても見つけてもらえないケースが少なくないのです。そのため親が元気なうちに遺言の有無とその種類、保管場所は共有しておいたほうがいいでしょう。

 また、来年からは自筆証書遺言を法務局で保管できる新制度も施行される。それを利用するよう促してもいい」(同前)

※週刊ポスト2019年8月16・23日号