かつては30兆円以上の市場規模と言われていたパチンコ・パチスロ業界だが、現在は20兆円を切るほどに縮小。その背景には、出玉の規制や人気機種の減少、景気の悪化など、さまざまな要因があるとされているが、「イベントの規制」もまた影響を与えているようだ。かつてパチスロ雑誌の編集に関わっていたフリーライター・A氏はこう話す。

「以前は、パチンコ店が『出血大サービス』などと銘打って、集客のためのイベントを開催していました。そういったイベントの日は、パチスロであれば高設定台(注:設定が高いほど、期待出玉率が高くなる。設定は店側が変えることができる。機種によって異なるが、設定は6段階となっていることが多く、数字が大きいほど出玉率が高い)が多くなっており、それを狙ってお客さんが来るということです。

 しかし、現在はそういったイベントは射幸性を煽るという理由で、警察当局から規制の対象になっています。地域によって違いはありますが、露骨に出玉を煽るイベントの開催は難しくなっている。その結果、イベント狙いの客が減少しているのは間違いないと思います」(以下同)

 現在では、パチンコ・パチスロライターやタレントなどが来店する「取材イベント」や「来店イベント」と呼ばれるものがかろうじて残っている状態だ。

「取材・来店イベントだからといって、客はそのライターやタレントに会いに来ているわけではないんです。出玉を煽るイベントができないから、代わりに取材・来店イベントをやっているだけ。客は結局出玉での還元を期待しているわけです。ただ、最近は取材・来店イベントも規制の対象になっていて、こういったイベントすら開けない地域が増えています」

 もはやパチンコ店での“イベント”は壊滅的になりつつあるようだが、かつての“イベント”は一体どういったものだったのだろうか。A氏が「イベント全盛期」だったという2000年代初頭を振り返る。

「個人的にパチンコ・パチスロ店のイベントがもっとも盛り上がっていたと感じているのは、2002年から2003年くらいでしょうか。4号機と呼ばれるパチスロ機全盛の時代で、『パチスロ北斗の拳』や『吉宗』などが稼働していた頃。パチンコよりもパチスロの方が盛り上がっていて、夕方くらいになると高設定を入れている台にそれを示す札が刺さるホールなんかもよくありました」

 なかには、かなり極端なサービスを実施するホールもあったという。

「たとえば、朝イチから一部の台に設定6の札が刺さっているホールもありましたよ。朝から晩まで設定6を打てば、大勝ちする可能性はかなり高いということで、開店前から多くの客が押し寄せていたものです」

 とはいえ、設定6の札が刺さっていても、その台が本当に設定6なのかどうかを見抜くことはなかなか難しい。

「珍しいケースだと、打っている途中に店長がいきなりやってきて、台を開いて設定表示ボタンを押してくれるお店もありました。本来、店側が客に対してそのようにして設定を公開することなんて、ありえないですからね。もちろん、現在はそんなことはできない。ホールとしては、ちゃんと客に還元するイベントを開いているんだぞという証拠を示したかったのでしょうが、今となっては信じられない時代です。実際、そういったホールはネットなんかでもかなり話題になっていて、大きなイベントの時には地方から訪れる客も多かったようです。

 ちなみに、私もその店にはよく通っていたんですが、リニューアルオープンの時に朝イチから全台に設定6の札が刺さっていたときは、度肝を抜かれました」

 そういったサービスは、客にとっては嬉しいものである反面、“深追い”をしてしまう可能性も高くなるという。

「高設定が入っていることをアピールするホールだと、客としても“この台はもしかしたら設定6かもしれない”と思い込んで、設定が低い台を打ち続け、その結果大負けしてしまうこともある。そういう意味では、露骨すぎるイベントもちょっと怖いですよね」

 ギャンブル依存症が大きな問題となっている現在、やはり射幸心を煽るイベントが開催できなくなっているのは当然の風潮だろう。パチンコ・パチスロ店でのイベントは、もはや昔話の中の存在となったのだ。