夫婦のどちらが先立つかによって、残された人が受け取る「遺族年金」の額は違う。夫婦とも年金受給し始めたあと妻に先立たれた夫は、送られてきた年金通知を見て、「エッ、オレの年金が減っている」とショックを受けることも覚悟しておいたほうがいい。

 妻の年金がなくなるのは当然だが、夫の年金の手取り額まで減らされるケースが少なくないのだ「夫に先立たれた妻」と「妻に先立たれた夫」は税制上の有利不利が違う。

「遺族年金」(遺族厚生年金、遺族基礎年金)は非課税だ。そのため、「夫に先立たれた妻」が自分の年金に加えて夫の遺族厚生年金を受給するようになると、年金受給額が増えるが、年金から天引きされる税金は増えない。遺族厚生年金はまるまるもらえる。

 一方、「妻に先立たれた夫」の場合、妻の遺族年金はもらえないケースがほとんどだが、不利はそれだけではない。

 妻が存命中は、年金所得に「配偶者控除」を受けることができるから税金が安くなっている。しかし、妻が亡くなった途端、配偶者控除がなくなって年金から天引きされる所得税・住民税が大きくなり、年金額はそれまでと同じでも、手取りが減ってしまうのである。

 配偶者控除は夫の課税所得から所得税38万円、住民税33万円(妻が70歳以上の場合は控除額が所得税48万円、住民税38万円)が差し引かれて課税されることから、控除がなくなれば夫の所得によって税額が年約5万〜10万円ほど増える可能性がある。

 とくに働きながら在職老齢年金をもらう夫ほど、収入が多い分、妻が死亡して配偶者控除がなくなるマイナスは大きい。

 これを知らないと、夫は“妻に先立たれた悲しみ”のうえに、“年金減額”という2重のダメージを受けることになる。

※週刊ポスト2019年12月20・27日号