2020年は年金、医療、介護など日本の社会保障制度が大きく変わり、中高年世代にとって「受難の始まり」の年になる。政府が推進する「全世代型社会保障」への転換に伴うものだ。

 これまでの社会保障は「年金」「老人医療」「介護」に重点が置かれ、消費税の税収はすべて、この3つに使われていた。

 それが消費税率10%への引き上げに合わせて、税収を幼児教育と大学の無償化、女性の社会進出など幅広い世代に使うことになった。「全世代型」社会保障への転換とは、言い換えれば「高齢者向け」の社会保障を大幅に減らすことに他ならない。

 政府は社会保障審議会と首相直属の「全世代型社会保障検討会議」で大転換を次々に打ち出している。医療保険は後期高齢者の窓口負担が2倍に増え、介護保険は「貯金500万円以上」持つ高齢者の支払額がハネ上がる。適切な準備ができなければ、虎の子の老後資産が大きく毀損されるリスクがある。

 一方で、様々な制度変更のなかには、チャンスと捉えられるものもある。

 年金制度は「75歳まで働く」ことを前提に組み直しが進む。働き方や年金の受け取り方を工夫すれば、これまでより生涯収入を大きく増やせる可能性がある。

 時間とお金ばかりかかる印象の強い相続対策も、2020年には複数の制度が大きく変わる。新制度を活用すれば、資産を妻や子供によりスムーズに渡しやすくなる。

 しかし、「損するリスク」や「得するチャンス」の存在自体を知らないと、老後資産はどんどん失われていく。

 困難な時代を乗り切るには、制度がどう変わるかを先取りし、今すぐにでもライフスタイルを見直して老後の生活と資産を守る備えが欠かせない。

※週刊ポスト2020年1月3・10日号