ネットユーザーはSNSとどう向き合うべきか。実業家の堀江貴文氏は、先日ツイッターで、「馬鹿はタダで拡散を手伝ってくれるボランティア的位置づけ」と述べ、わざと炎上させることも狙って、あえて「馬鹿」という言葉を使っていると説明した。こうした堀江氏の考えに全面的に賛同するというのは、『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』などの著書もあるネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏は「SNS強者にいちいち突っかかるのはバカそのもの」と考えている。その理由について解説する。

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「炎上マーケティング」はやらない方がいい、という説もマーケターなどから出てきますが、これはあくまでも企業の話。個人においては、炎上マーケティングは「アリ」だと思います。理由は、堀江氏も含めた個人の場合、炎上したとしても別に不買運動を起こされたりしないし、ブランドイメージが毀損されないからです。そして何があったとしても本人が責任を取ることができ、組織と比べれば他人に迷惑をかけることが圧倒的に少ないからです。

 それよりも炎上をして、話題になったところで新たなるファンが増える可能性の方が高い。過激なツイートをし、それが500万のインプレッションを得たとしましょうか。この中で罵倒をしてきたり不快に思う人が仮に400万人いたとしても、ファンの98万人が「いい意見だ!」と述べるとともに、新たなる2万人のファンが誕生すれば、確実にプラスになるのです。

 だからこそ過度な恨みを買うような必要はないものの、いわゆる「炎上」(個人によって定義は曖昧)をすることは著名な個人にとってはそこまで悪いことではありません。さすがに殺されたりストーカー行為をされるところまで誰かを怒らせてはまずいものの、堀江氏はそこら辺のさじ加減を分かった上でやっていると感じます。

 こうした状態を見ていると、ネットという世界は元々「誰もがフラットである」といった言説があったものの、現実世界同様の「超格差社会」であることがわかるのではないでしょうか。YouTuberのトップクラスは年収10億円あると言われるし、人気のブロガーは月に数百万円稼いだりする。SNSのフォロワーが多いカリスマはオンラインサロンで億単位の年収を得ることもできるようになっています。

 結局SNSはもっとも効率の良い「お布施システム」になっているわけです。SNSにおける強者に対して課金をしている方々は自分が「何者か」になれると思ってそれをやっているのかもしれませんが、そのお布施をし続けた人の中で「何者か」になった方ってどれだけいますか?

 一部に成功した方はいますし、良心的なサロンがあるのも知っていますが、参加者の人数比で成功者がどれだけいるのかと問えば、運営元は「モゴモゴ……」とならざるを得ないのではないでしょうか。

 ネットのユートピア思想とフラット思想というものは実に罪作りでしたね。「オレは好きでやってるんだから、余計なことを言うな!」という反論があるのは分かります。

 でもだとしたら、例えば「オンラインサロンで学習している」という考えは、もう一方では、「○○さんのファンクラブに課金してるんだ、オレ!」という意識の方が正しい。オンラインサロンについては、結局その運営者のワナビーばかりが集まり、その中で「よしよし、お前はかわいいやつよのぅ」と「強者様」から名指しされることにより良い気分になるし、それを傍観している方々は「いつかはオレも名指しされたい!」と発奮し、ますます時間とカネをそのサロンに注ぎ込む。

 SNSでフォロワーの多い強者に“突撃”したりする行為にしても、結局はその強者のファンが勝手に近衛兵のごとくあなたを攻撃してくるでしょうし、通知が鳴りやまない状態になったりします。だから、SNS強者は別格の存在だと認識し、いちいち突っかかる必要はないんです。あなたは彼らのようになれないんです。返り討ちを食らって心が折れるだけです。

 ネットを散々ウォッチしてきた私があえて言いますが、まぁ、「SNS強者」に絡んでも大した意味はありません。むしろ利用されるだけですし、場合によっては攻撃をくらったり裁判を起こされたりします。

 自分は自分。彼らは彼ら。そういった独立した人格を持てるようになるにはまずはSNS断ちをし、自分の周囲の方々を大切にしてみてはいかがでしょうか。多分その方が人生はうまくいきますよ。